2017 Fiscal Year Annual Research Report
ハロゲン化多環芳香族炭化水素類とその誘導体の網羅的同定とリスクスクリーニング
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16H05891
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
三宅 祐一 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (40425731)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多環芳香族炭化水素類 / ハロゲン化PAHs / 残留性有機汚染物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハロゲン化多環芳香族炭化水素類(ハロゲン化PAHs)は、環境残留性や有害性の観点から新規残留性有機汚染物質の候補となり得る化学物質群であるが、包括的な環境汚染調査やリスク評価が行われていない。そこで本研究では、不足していた高リスクが推定される標準物質の新規合成を行い、一般環境汚染実態の包括的把握と主要な汚染源の探索を行う。また、これら汚染調査結果に基づいて、ヒトへの主な曝露経路の推定とリスクレベルの評価を行う。 昨年度、廃棄物焼却施設がハロゲン化PAHsの主な発生源の一つであることを明らかにしているため、今年度は一部のハロゲン化PAHs(塩素化ピレン)に着目し、廃棄物焼却施設を模擬したポリ塩化ビニル(PVC)の燃焼実験と反応速度解析を行った結果、気相中でピレンが逐次的に塩素化していく反応経路が主であることの直接的な証拠を初めて明らかにした。この研究成果は、ハロゲン化PAHsの生成抑制技術の開発に資するだけでなく、極微量の燃焼副生成物質の反応解析分野に大きな影響を与える成果である。これらの知見を活用することで、実施設の排ガス中ハロゲン化PAHsの排出抑制するための排ガス処理方法を明らかにした。さらに、生態リスクを考慮して代謝物(ヒドロキシ誘導体など)の合成の検討を開始し、一部の物質については単離でき、NMRによる構造決定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハロゲン化PAHsの生成・排出機構解析やその誘導体の合成が順調に進んでいることから、当初の予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
高塩素化PAHsの合成と共に、生態リスクを考慮して代謝物等の合成を進める。また、それらの物質の分析方法の開発や環境汚染実態の調査を行う。
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