2018 Fiscal Year Annual Research Report
価値観に根ざした環境配慮行動促進策の提案:東洋・西洋社会における横断・縦断研究
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16H05896
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
甲斐田 直子 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60456704)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 環境配慮行動 / 価値観 / 行動変容 / 潜在的態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、異なる文化的背景を持つ社会における環境態度・環境配慮行動の関係性分析および行動促進方策の効果検証を行った。 日本・中国において省エネルギー行動に関する質問紙調査を実施し、比較分析を行った。生物主義的態度が環境意識を高め、意図・行動につながる基本的構造は、両国において共通することがみとめられた。一方で、行動に対する心理的障壁要因において、日本では「古くさい考え」等が、中国では「他者との比較」等が強く認識されていることが明らかとなった。また、行動に対する心理的障壁自体は日本においてより強く認識されているものの、行動意図への抑制関係は中国においてより強いことがみとめられた。さらに、中国大連市在住世帯を対象に、省エネ効果情報提供による環境意識・電力消費量変化検証実験を行った。個別世帯の電力消費量に関する履歴情報を与えた条件(個別フィードバック)と個別世帯履歴情報および他世帯との比較情報(比較フィードバック)を与えた条件では、実験介入前半において電力消費量の減少傾向がみられた。また、比較フィードバック条件では、省エネ行動および生物主義的態度の向上、および他者との比較に関する心理的障壁の緩和がみとめられた。 日本・マレーシアにおいて食品廃棄に関する質問紙調査を実施し、比較分析を行った。食品廃棄に関する問題意識は両国共通して高いことが明らかとなった。食品廃棄回避行動については、日本において、食べ切り・使い切り、残り物活用、食品保存、の項目において取り組みが高い傾向がみとめられた。また、茨城県住民を対象に、食品廃棄抑制促進のための情報提供介入実験を行った。一般情報提供条件・節約情報提供条件が介入前半に食品廃棄量抑制傾向をもたらした後に介入前水準に増加した一方で、環境影響情報提供条件は緩やかながら一定して減少傾向であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究対象文化圏のうち、一部地域についての実験調査実施が完了しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
早期に文化交差型の実験調査を対象国において実施し、環境配慮行動促進方策の設計と効果検証を推進する。
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Research Products
(4 results)