2018 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者のエネルギー消費量の検討およびメタボローム解析による栄養素代謝変化の解明
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16H05897
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山田 苑子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (30716634)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 悪液質 / REE |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き、頭頸部癌および消化器癌患者の悪液質の頻度および臨床的特徴を調査した。また、頭頸部がん患者の代謝測定および体組成測定を行った。 頭頸部癌患者138名のうち、Fearonらの診断基準で悪液質に該当した患者は44名(32%)であった。消化器癌患者477名のうち、悪液質は186名(39%)であった。癌種ごとの内訳では、胃癌の36%、大腸癌の35%、肝臓癌の34%、膵癌の63%、胆管癌の57%が悪液質に該当した。 頭頸部癌患者22名と健常者13名のREEを実測し、Harris-Benedict式から推定した基礎代謝量(BEE)とREEを比較した。頭頸部癌患者22名のREE/BEEの中央値は1.07であり、健常者13名の0.86に比し、有意に高かった(p<0.01)。体重あたりのREE(REE/BW, kcal/kg)を比較すると、頭頸部癌患者では23.1、健常者では22.2 であり、頭頸部癌患者で高い傾向にあった(p=0.10)。呼吸商について比較すると、頭頸部癌患者は0.88、健常者は0.84であり、頭頸部癌患者で高い傾向にあった(p=0.09)。 また、REEを測定できた頭頸部癌患者22名のうち、Fearonらの診断基準で悪液質に該当した患者は10名(45%)であった。悪液質群と非悪液質群のREE/BEEを比較すると、悪液質群は1.07、非悪液質群は1.02であり、有意差はみとめられなかった(p=0.22)。一方、体重あたりのREE(REE/BW, kcal/kg)を比較すると、悪液質群では24.5、非悪液質群では21.7であり、悪液質群の方が有意に高かった(p=0.01)。さらに、除脂肪体重あたりのREE(REE/FFM, kcal/kg)を比較すると、悪液質群では30.8、非悪液質群では28.2であり、悪液質群の方が有意に高かった(p=0.03)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
REE測定に関して、術前の測定を予定していたが、近年の入院期間短縮に伴い術前日入院が増加し、術前日のREE測定が困難となり、当初予定していた症例数に到達していない。メタボローム解析については、体制整備に時間を要し、血液サンプルの収集が遅れている状況である。体組成測定や栄養摂取状況等のデータベースはほぼ構築でき、治療中の体組成変化と栄養量との関連について解析を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
体制整備に時間を要してしまい、当初予定していた安静時エネルギー消費量測定およびメタボローム解析の目標症例数に達さない可能性があるが、可能なかぎり症例数を増やす。体組成測定や栄養摂取状況などのデータベースはほぼ構築できたため、治療中の体組成変化と栄養量との関連について解析を行う。また、PhAなどの新たな視点から解析を実施し、がん患者におけるエネルギー代謝変化及び栄養素代謝変化を検討する。
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Research Products
(6 results)