2018 Fiscal Year Annual Research Report
疾患リピドームの正常化を促す超分子医薬の創発と慢性的脂質異常症治療への応用
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16H05910
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田村 篤志 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (80631150)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シクロデキストリン / ポリロタキサン / コレステロール / 動脈硬化症 / マクロファージ / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究で、ポリロタキサンはプラーク形成に関与するマクロファージの炎症応答を効果的に抑制するという想定外の結果を得た。このようなポリロタキサンの抗炎症作用は動脈硬化症の予防・治療において非常に有望な作用であるものの、その作用機序は未解明である。平成30年度はポリロタキサンの抗炎症作用のメカニズムに関する評価を継続するとともに、マクロファージへのターゲティングを可能とする分子設計について検討を行った。 マクロファージはマンノースレセプター(CD206)が高発現していることから、CD206を認識するマンノース修飾ポリロタキサン(Man-PRX)の合成を行った。Man-PRXはこれまでの検討で用いてきた2-hydroxyethoxy ethyl基修飾ポリロタキサン(HEE-PRX)と比較して、CD206陽性細胞への取り込みが約3倍向上した。一方、CD206を発現していない細胞に対する取り込みはHEE-PRXとMen-PRXの間で有意な差はなかった。また、Man-PRXのマクロファージへの取り込みにはCD206発現量が影響することを明らかにした。以上より、Man-PRXはCD206を発現するマクロファージ等への取り込み選択制が高い設計であると考えられる。 また、ポリロタキサンの抗炎症作用についてはHEE-PRXを用いて評価を行った。HEE-PRXを作用させたRAW264.7細胞中のステロール量を評価した結果、コレステロールの減少、ならびにLanosterolの大幅な増加が認められた。本結果は、ポリロタキサンによって細胞内のコレステロールの減少した結果、細胞のコレステロール生合成が活性化されためであると考えられる。近年、コレステロール前駆体や酸化体が炎症と関与することが報告されており、ステロール量の変化が抗炎症作用につながったという可能性も考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究を通じて、ポリロタキサンによる抗炎症作用の機序について、おおよその作用機構を明らかにするとともに、マクロファージへのポリロタキサンの取り込みを向上させるための分子設計を確立した。想定外の結果が得られたことから、当初予定したいた実験内容とは異なる部分もあるものの、ポリロタキサンによる動脈硬化症予防・治療という観点でみると、当初の計画以上に研究が進んでいると評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度までの研究により、マクロファージを標的とした分子設計を確立するとともに、抗炎症作用の機序の一端を明らかにした。これらの結果をもとに、今後はin vivoでの評価を進めるとともに、作用機序に関してより詳細な解析を実施する。以上の評価を通じて、ポリロタキサンによる動脈硬化症の予防・治療の可能性を明らかにする。
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