2017 Fiscal Year Annual Research Report
Label-free imaging technique based on nonlinear optics in biological tissues for medical application
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16H05912
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大嶋 佑介 東北大学, 医工学研究科, 研究支援者 (10586639)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ラマン分光 / 骨粗鬆症 / 軟骨変性 / 非線形光学イメージング / SHGイメージング / 顕微ラマン分光 / 診断 / がん転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体の光イメージング技術は、細胞や組織に対する侵襲性が少なく、光と分子の相互作用を利用して、生体機能や様々な疾患と関連が深い分子の動態を直接あるいは間接的に可視化するために非常に有効な分析ツールである。本研究では、無染色で生体分子を可視化できるラマン分光分析と高次高調波発生などの非線形光学効果に基づいた光イメージング技術を開発し、医療応用を目指すことを目的とした。目標達成のために、細胞や組織などの生体計測に特化した、ラマン分光分析システムを独自に設計・構築し、性能評価を実施した。その結果、高感度かつ再現性に優れたラマン分光分析装置が完成した。このようにして独自に構築した顕微ラマン分光システムを用いて、培養細胞、実験動物より採取した組織標本等の計測に成功した。続いて、医療応用を視野に入れて、整形外科や消化器腫瘍外科、病理医と連携し、種々の疾患モデル動物の作成と解析をを行った。これまでに、軟骨変性疾患モデル、骨粗鬆症モデル、がん転移モデルなどを用いた動物実験により、その有用性と実用可能性を明らかにしてきた。これらの研究成果に基づき、本年度はヒト検体を用いた解析を実施した。特に、細胞外マトリックスの分子組成の変化に着目し、ラマン分光法および多光子励起顕微鏡を用いた解析を中心に行った結果、変性軟骨や、がん組織において、細胞外マトリックスの分子組成変化を鋭敏に捉えることに成功し、実用化のための重要な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
動物実験による検証が終了し、想定よりも早くヒト検体の計測に着手することができたため。さらに、細胞外マトリックスに着目した解析の結果、疾患との関連が深いと考えられる変化を捉えることに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築したラマン分光分析システムを用いて、病理組織標本の網羅的な解析を行い、実際の臨床現場においてがん診断や鏡視下での診断に使える技術へと発展させるための検討を行う。また、ヒト検体を用いた解析結果をこれまでに蓄積したモデル動物を用いた解析結果とじゅうぶんな比較検討を行い、再現性や安全性といった実用上の問題点を洗い出し、解決策を模索していく。
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