2018 Fiscal Year Annual Research Report
筋収縮は脳の健康に貢献するか?筋から脳への情報伝達機構の解明と運動処方への応用
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16H05919
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Research Institution | Physical Fitness Research Institute, Meiji Yasuda Life Foundation of Health and Welfare |
Principal Investigator |
須藤 みず紀 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員(移行) (10585186)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 豊かな環境 / 身体活動量 / 感情 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの先行研究において,豊かな環境飼育は,身体活動量の増加,および脳機能の向上をもたらすことが示された.しかしながら,豊かな環境飼育におけるどのような環境条件(持久的活動,その他の活動,生活活動)において身体活動量を増加させ,脳機能に影響を及ぼすのかは明らかではない.前年度の本研究の結果から,豊かな環境飼育が不安様感情の低下のみならず,身体活動量を増加させることが示された.そこで,平成30年度は,豊かな各環境条件,①持久的活動評価,②遊具のみの活動評価,③生活活動評価により身体活動量と不安様感情に与える影響を明らかにすることを目的とした. Wistar rat(雄性)を対象とし,豊かな環境-ホイールのみ群(EE-W群,N=8),豊かな環境-遊具のみ群(EE-ST群,N=8),通常飼育群(SE群,N=8)に分類し6週間の飼育を行った.対象動物は各飼育ケージ2匹ずつとした. 身体活動量は3軸加速度計のnano-tag(キッセイコムテック社)センサーを背部に埋め込む処置をし,モニタリングした.記録された身体活動量(振動数)は,明期と暗期における1日あたりの総和の平均を算出し評価した.飼育期間終了後,不安様感情は明暗BOXを用いて明領域における滞在時間を測定し評価した.暗期における身体活動量は,EE-W群がSE群と比較して有意に高い値を示した.一方で,EE-ST群はSE群と差異がみられなかった.また,明期では両群間に差異はなかった.明暗BOXにおける明領域における滞在時間は,SE群と比較してEE-W群,EE-ST群の両群において有意に高かった.これらの結果から,EE-ST群は身体活動量の増加を伴わずに不安様感情が改善されることが示唆された.次年度は,骨格筋の機能と認知機能,及び情動に共通する因子の解析を進める予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は,研究計画に対しておおむね順調に進展した.申請時の計上予算から減額であったため,蛍光イメージング検証については保留中である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本研究におけるメカニズム解明を中心に進める予定である.採取済みの各組織のサンプルを対象に,タンパク質の定量を現在進めている.また,生体内における認知機能と情動に関与する因子の可視化に試みる.さらに,ヒトを対象とした自発的,および,強制的な局所の骨格筋の収縮活動が脳機能へ及ぼす影響についても検証予定である.
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