2017 Fiscal Year Annual Research Report
運動持久性における視床下部グリコーゲンの役割:新規持久性向上策の提案
Project/Area Number |
16H05920
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松井 崇 筑波大学, 体育系, 助教 (80725549)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 視床下部 / グリコーゲン / 乳酸 / 持久性能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、運動持久性に重要なエネルギー代謝の制御中枢・視床下部(VMH)におけるグリコーゲンの役割を解明し、アスリートへの実装を念頭にした視床下部グリコーゲンローディングを提案することを目指す。4年計画の2年目である平成29年度は、実験計画に従い、以下の通りに実験を実施した。 実験1-1では、運動持久性におけるVMHグリコーゲンの役割を薬理学的に明らかにすることを目的とした。両側の視床下部に留置したカテーテルを通じて、グリーコゲン分解酵素阻害薬やモノカルボン酸輸送担体阻害薬を投与しながらLT強度のトレッドミル運動を課し、最大下運動時の呼気ガス成分を測定した。その結果、グリーコゲン分解酵素阻害薬とモノカルボン酸輸送担体阻害薬の投与が最大下運動時の呼吸交換比を上昇させたことから、視床下部グリコーゲン由来の乳酸が運動時の糖質代謝に抑制的に働くことで、運動持久性を担う可能性が示唆された。 実験1-2では、運動持久性における脳グリコーゲンの役割を遺伝学的に明らかにすることを目的とし、グリコーゲン欠損マウスの導入を進めながら、実際に脳グリコーゲンが欠損していることを確かめた。さらに、このマウスの運動能力に関して検討を進めた。 実験2-1では、昨年度に開発した筋グリコーゲンローディングのラットモデルを利用し、その条件検討を運動、糖質摂取量、タイミングなどから進め、視床下部のグリコーゲンが筋と同様に増加する可能性を初めて見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験1-1では、運動持久性における視床下部グリコーゲンの役割を薬理学的に明らかにするため、両側の視床下部にカテーテルに留置したラットにグリーコゲン分解酵素阻害薬やモノカルボン酸輸送担体阻害薬を投与する実験を行い、目的を達成した。実験1-2では、遺伝子改変動物の搬入や環境整備に時間を要したが、実験環境やマウスの基礎的データ収集が進み、今後の進展が予想される。それぞれの実験で目的を一定のレベルで達成したことから、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験1-1では、グリーコゲン分解酵素阻害薬とモノカルボン酸輸送担体阻害薬の投与により、視床下部グリコーゲンとそれ由来の乳酸の役割の一端を明らかにしたことから、平成30年度は、グリコーゲンや乳酸の上流および下流に位置する神経伝達物質に焦点を当て、運動時のエネルギー代謝制御におけるグリコーゲンおよび乳酸の役割を検討する。実験1-2では、継続的に遺伝子改変動物の実験環境を整えるとともに、動物を使用した検討を推進する。 また、予定を繰り上げて実施している実験2-1では、視床下部グリコーゲンを高めるグリコーゲンローディング条件を見出したことから、この増加の意義と機構について検討を進める。
|
Research Products
(10 results)