2017 Fiscal Year Annual Research Report
青斑核ノルアドレナリン神経の多様性を生み出す機構の解明
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16H05928
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
植松 朗 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (90716242)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 青斑核 / ノルアドレナリン / 恐怖 / 報酬 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)1シナプス間を逆行性に輸送されるウイルスベクター(Rabies)を用いることで青斑核扁桃体投射群と前頭前野投射群にそれぞれ入力する神経細胞を検討した。入力の違いは見られなかったものの、現在使用しているSAD19株Rabiesにより標識される神経細胞が少ないことが明らかとなった。また、前頭前野からの入力について逆行性トレーサーを青斑核に投与すると多くの細胞が標識されるものの、SAD株Rabiesではまったく確認することができていない。扁桃体でも前頭前野の入力が見れないことを確認しており、ベクターの問題であることが明らかとなった。 2)光遺伝学を用いて青斑核ノルアドレナリン神経の報酬学習における役割を検討した。ラットにはウイルスベクターにより前頭前野もしくは扁桃体投射のノルアドレナリン神経群に光感受性抑制性のハロロドプシンを発現させ、光ファイバーを青斑核上部に留置した。報酬学習中は音が鳴っている間にスクロース溶液を提示し、消去では音のみを提示し、ラットがスクロース溶液を提示するポートに入った時間を測定した。学習中もしくは消去の音が鳴っている間にワイヤレス装置を用いてレーザーを照射した。前頭前野投射群を抑制すると報酬学習とその消去を阻害すること、一方で扁桃体投射群では効果はないことが明らかとなった。 3)ベクターにより扁桃体投射群もしくは前頭前野投射群にGFPを発現させた。そののちフローサイトメトリーを用いて神経細胞を分離し、RNAを抽出したところRNAの質が悪くなることが明らかとなった。そのため、リボソームタンパク質であるl10aにGFPで標識したGFP-l10aを作成し、これをベクターにより発現させる系を作成・検討した。GFP抗体を用いて免疫沈降を行うことでGFPを発現しているリボソームを集めることができ、ここからRNAを抽出することで質の高いRNAを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつか実験において問題はでるものの、代替方法によりおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)SAD19株Rabiesと異なる新たなCDS株を使用することを検討している。論文ではCDS株がSAD株に比べて毒性が低くまた効率も良いことが報告されている。今年度中にこれを作成し、投射群ごとに投与を行い、入力先について検討をおこなう。 2)イメージング装置の使用方法・解析法については確立をした。青斑核に一番よいカルシウムプローブについても検討を行ったので、今後は実際に行動をしている際のイメージングを行う。 3)RNAを抽出することができているため、今後はこのRNAを次世代シークエンサーにかけることで特異的なマーカーがあるかどうか検討を行う。
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Research Products
(8 results)