2016 Fiscal Year Annual Research Report
動詞先行型危機言語の場面認識・記憶に関わる認知メカニズムの解明
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16H05939
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
里 麻奈美 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (80723965)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言語学 / 実験心理言語学 / 認知言語学 / 危機言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度4-6月に記憶と主体性についてに関する先行研究の再調査と検証すべき仮説の決定を行った。平成28年7月には実験に使用する事象刺激のサンプル作成を行い、8月の台湾遠征でタロコ語母語話者に確認する事項をまとめた。 平成28年8月の台湾遠征では、これから研究を円滑に進めるために不可欠である、タロコ先住民族コミュニティーの方々との交流を図り、さらに実験補助3名、現地協力者1名の方々との信頼関係を構築し、実験実施に伴う作業や概要などについて説明した。また、視線計測実験を実施するための施設の確保や研究環境の整備を行った。さらに、現地母語話者と共にタロコ語の文法や翻訳に関する確認を行いながら、これまで実施してきた思考と語順を探ったジェスチャー研究の総まとめも行った。 平成28年度8月-11月には、平成29年度に実施予定の「主体性と事象認知に関わるタロコ語産出実験」の準備として、現地協力者であるタロコ語母語話者と文化的、歴史的背景に適した事象の作成に取り組んだ。現地協力者には、事象刺激の適性について適宜コミュニティーの方々に意見を伺うように指示し、事象の修正や作成を行った。 平成28年度12月-3月には、E-Prime、視線計測器を用いた実験のデザインとプログラミングを行った。また、タロコ語母語話者の思考の順序と語順の関係性を探った研究成果を以下の論文にまとめた。(Manami Sato. 2017年3月. Speakers of VOS and SO word order languages interpret the world differently: A gesture study with Truku (VOS) speakers. 外国語研究,沖縄国際大学. 査読有.)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であったタロコ先住民族コミュニティーの方々と信頼関係を築くことができ、現地研究協力者、実験補助者と今後の実験を円滑に進めるために重要な協力体制を整える事ができた。また、現地における実験環境を確立することもできた。平成29年度に実施する実験の事象刺激も完成に近づき、プログラミングも進んでいる事から、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、「主体性と事象認知に関わるタロコ語産出実験」を日本語母語話者を対象に実験を実施し、そのパイロットデータをもとに実験刺激、実験デザイン、教示法などに改良点、修正点があれば変更する。その後、日本語母語話者とタロコ語母語話者を対象とした本実験に移行することとする。
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