2016 Fiscal Year Annual Research Report
Age-related changes in automatic responses to interpersonal modalities: Interaction between sentence-final particles and adressee honorifics in Japanese
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16H05940
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
木山 幸子 三重大学, 教養教育機構, 特任講師(教育担当) (10612509)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 終助詞 / 対者敬語 / 加齢変化 / 対人距離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本若手(A) 課題では、円滑な異世代間コミュニケーションへの指針を提供するために、日本語を母語とする高齢者の対人的文末モダリティへの自発的反応のあり方を明らかにすることを目的としている。 初年度にあたる平成29年度には、日本語の対人的文末モダリティ要素である対者敬語と終助詞「ね」の組み合わせによって、聞き手の抱く印象がどのように変化するかを問う質問紙調査を行った。首都圏在住の65歳以上の高齢男女233名を対象とし、役所や医療現場など公共性の高い場で30代職員が発すると想像した場合に、指示および雑談をされた場合の印象について、「たいへん感じが良い」から「たいへん感じが悪い」までの6段階のスケールで回答してもらった。得られた回答を分析した結果、対者敬語および終助詞の不使用に対する不快感は、男性より女性職員からの指示に対して強く抱かれ、その不快感は男性より女性の回答者のほうが強いことが示された。また、終助詞「ね」の有無の効果は、男性より女性の回答者のほうに強く影響していた。 「敬語を使った方がよいか否か」という敬語の意識調査は従来からたびたび実施されており、男性より女性のほうがより敬語使用を求められるという規範意識はすでに例証されていたが、本調査は、実際の文例に対する不快感の抱き方という「聞き手」の側にたった場合の意識を明らかにした。また、終助詞「ね」については、従来産出面は検討されてきてはいたが、やはり聞き手の側に立った場合の場合の印象については未検討であった。本調査は、終助詞「ね」の認知に性差があることを初めて示した。 また、今回の調査で用いた例文は、本課題で次に計画している認知および脳機能実験で用いる刺激文として利用可能であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では、初年度に調査と行動実験を行う予定であった。しかし実際には、調査の実施と分析は行ったものの、行動実験には着手できなかった(研究代表者の異動が続き、研究環境整備に想定以上の時間がかかったため)。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の異動があったために初年度には多少の遅れが生じたが、すでに本課題で計画しているような実験が実施できる体制は整った。実験補助、実験参加者などの確保も容易に行えるので、2年目からは円滑に計画を推進できる見込みである。
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