2018 Fiscal Year Annual Research Report
遊牧国家匈奴における製鉄の伝播とその適応プロセスの実証的研究
Project/Area Number |
16H05944
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
笹田 朋孝 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90508764)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アジア考古学 / 科学技術史 / モンゴル / 匈奴 |
Outline of Annual Research Achievements |
モンゴル側と作成した調査計画に則って、7月にモンゴル国ドルノド県バヤン・ドゥン郡ズーン・ウリーン・アダク遺跡の発掘調査を行なった。2基の製鉄炉を発掘し、炉の内部から採取した木炭を日本に持ち帰り、年代測定を行った結果、2σで88calBC - 77calBC ( 1.9%)、56calBC - 53calAD (93.5%)の年代が得られた。これによりモンゴル東北部のロシア国境近くに匈奴の製鉄遺跡が存在していたことが確定となった。近隣には匈奴の遺跡はまだ確認されておらず、周縁地域における匈奴のあり方、あるいは匈奴の領域を考える上で重要な成果であるといえる。 また9月にはこれまでキーサイトとして調査を継続してきたトゥヴ県ムングンモリト郡ホスティン・ボラグ遺跡の発掘調査を実施した。これまでの調査で匈奴の製鉄については一定の見通しを得ることができたため、2018年度は匈奴の鉄器生産を明らかにするために、2017年度の調査で確認された竪穴状遺構の発掘を実施した。その結果、鉄器生産に関連する遺構や遺物を確認できなかったものの、匈奴では珍しい、ベンチ状遺構や出入り口部を伴う「呂」の字型の竪穴建物を検出することができた。柱穴から出土した動物遺体の年代を同様に測定したところ、48 cal BC-29 cal AD (91.3%)、39-49 cal AD (4.1%)と21-12 cal BC (1.8%)、1 cal BC-78 cal AD (93.6%)の年代が得られた。この年代は製鉄遺跡や窯址との年代と整合的であることから、鉄生産や窯業生産が行われていたころに存在していた竪穴建物といえる。 2018年9月にはモンゴルで国際シンポジウム” XIONGNU SETTLEMENT AND HISTORY OF ANCIENT CRAFT PRODUCTION”を開催し、モンゴル語で研究成果報告書を刊行するなど、研究成果を国内外に発信している。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)