2016 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental archaeological study for reconstructing the history of East Asian casting technology by contrastive experiment
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16H05946
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
丹羽 崇史 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (40455564)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鋳造技術 / 対照実験 / 実験考古学 / 東アジア / 青銅器 |
Outline of Annual Research Achievements |
殷周青銅器や青銅鏡は複雑・高度な鋳造技術で製作されたが、その実態は未だに不明な点が多く、現代に伝わっていない技法も存在する。そこで本研究は、複数条件(原型素材・鋳型構造など)で製作した同一形状の鋳造実験試料を比較検討する「対照実験」を主軸として、殷周青銅器を中心とした古代東アジアの鋳造技術の解明に取り組むものである。考古資料調査、対照実験、自然科学 分析のデータを蓄積し、考古資料上の特徴と製作技法の関係を実証的に解明する本件は、実験考古学の方法論的な転換を目指す。 本年度は、中国・日本における出土鋳型の分析事例、突帯状痕跡を有する青銅器、過去の実験考古学的研究成果などの集成を進めるとともに、国内機関のほか、中華人民共和国、アメリカ合衆国、大韓民国、台湾に出張し、各機関の所蔵青銅器・生産関連遺物などの調査をおこなった。研究協力者とは随時協議を進め、これらの調査で得た成果をもとに富山大学芸術文化学部、芦屋釜の里にて鋳造実験を実施した。また、これまでの実験試料の自然科学分析もおこなった。 また、これまでの調査や実験で得た成果の一端は、首届中国考古学大会(2016年5月22日 鄭州)、7th Worldwide Conference, Society for East Asian Archaeology (SEAA7)(6月11日 ボストン)、WAC-8 Kyoto(8月29日 京都)、第172回講演大会「鉄の技術と歴史」研究フォーラム(9月22日 大阪)、国際会議「商周青銅器及鑄造工藝研究」(11月4日 香港)にて報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究計画・方法」に記した「①青銅器・鋳造関連遺物の資料集成とデータベース化」、「②考古資料の調査・仮説構築」、「③対照鋳造実験の実施」、「④実験製作試料の調査・自然科学分析」について項目別に述べる。①は中国・日本における出土鋳型の分析事例、突帯状痕跡を有する青銅器、過去の実験考古学的研究成果などについて資料集成を進めることができた。②も国内外の各機関にて、青銅器・精査関連遺物の資料調査をおこなっている。③は富山大学芸術文化学部、芦屋釜の里にて鋳造実験を実施したほか、④もこれまでの実験試料を対象に自然科学分析を進めた。このほか、複数の国際学会・国内学会にて成果の報告もおこなうことができた。 以上のような状況から、本研究計画はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
①考古資料の調査・研究 前年度に引き続き、生産関連遺物・遺構と青銅器の集成・データベース化を進める。資料集成・データベース化においては、大学院生クラスのアルバイトを雇用して、作業を効率的に行う。また、鋳型を中心とした生産関連遺物のほか、消失原型法を使用した可能性が想定される青銅器や二重体鏡、北方系帯金具などの調査・研究を進める。 ②対照鋳造実験の実施 前年度に実施した鋳型の製作実験、突線状痕跡を有する青銅器の実験、鉛原型溶解実験、単字模製作実験の成果をもとに、それらの再検証実験を実施する。また、鉛・縄・木・動物油脂などを素材とした消失原型の鋳造実験を実施する。 ③実験製作試料の自然科学分析 前年度の対照実験で製作した鋳型や製品の材質・構造調査を進める。非破壊による実体顕微鏡観察、蛍光X線装置を用いた成分分析、透過X線撮影をおこなうとともに、鋳造実験試料を切断・研磨し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた金属 組織観察、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)による金属相化学組成の分析をおこなう。 ④現代の鋳造技術の調査 日本・中国・韓国において、伝統的な鋳造技術で製作を行っている工房を訪問し、具体的工程・使用 材料などについて調査・記録を行う。また、記録化された映像や民俗誌、 文献史料などの記録の集成も進める。
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Research Products
(7 results)