2017 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental archaeological study for reconstructing the history of East Asian casting technology by contrastive experiment
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16H05946
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
丹羽 崇史 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (40455564)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鋳造技術 / 対照実験 / 実験考古学 / 東アジア / 青銅器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は異なった条件で実験鋳造した試料どうしを比較検討する「対照実験」の手法を主軸として、殷周青銅器を中心とした古代東アジアの鋳造技術の解明に取り組むものである。2017年度は2年目にあたる。 2017年度は、泉屋博古館等の国内機関、ならびに中華人民共和国(上海博物館等)、大韓民国(国立金海博物館等)、台湾(中央研究院歴史語言研究所等)の各機関にて、青銅器・鋳型などの資料調査・見学等を実施した。また、研究協力者とは随時協議を進めた。 2018年2月には芦屋釜の里にて、土製鋳型を用いた青銅器の線状痕跡の機能比較を主眼とした鋳造実験を実施した。さらに、2017年7月には富山大学にて、前年度の実験製作品、および実験鋳型の電子顕微鏡等による分析もおこなった。 また、前年度に引き続き、中国出土冶金関連遺物・青銅器など関連資料の集成を進めた。 研究成果の一部は、『泉屋博古館紀要』33号に廣川守・樋口陽介・八木孝弘・新郷英弘・丹羽崇史「ヒョウ氏編鐘の中子構造」を掲載したほか、アジア鋳造技術史学会台北大会(2017年8月25・26日 台北)にて丹羽崇史・三船温尚・石谷慎「天理参考館所蔵「鋳客」炉の施紋技法の研究」、廣川守・樋口陽介・八木孝弘・新郷英弘・丹羽崇史「東周時代の鐘の中子製作技法 」、BUMAⅨ(2017年10月17・18日 釜山)にてNIWA Takafumi "A transformation of casting clay molds in China ; Materials, Structures and Technologies"を報告した。このほか、国内外の研究誌・論文集に複数の論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度同様、交付申請書の「研究計画・方法」に記した「①青銅器・鋳造関連遺物の資料集成とデータベース化」、「②考古資料の調査・仮説構築」、「③対照鋳造実験の実施」、「④実験製作試料の調査・自然科学分析」について項目別に述べる。 ①は前年度から継続して中国における冶金関連資料・青銅器の資料集成を継続して進めることができた。②も国内外の各機関にて、青銅器のほか、鋳型などの冶金関連遺物の資料調査・見学を実施した。 ③は芦屋釜の里にて鋳造実験を実施し、顕著な成果を挙げることができた。④は富山大学にて、前年度の実験製作品、および実験鋳型の電子顕微鏡等による分析をおこなった。 このほか、研究誌にて成果の一部を公表したほか、複数の国際学会・国内学会にて成果の報告をおこなった。 以上のような2017年度の実績から、本研究計画はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
①考古資料の調査・研究 前年度に引き続き、冶金関連遺物・遺構と青銅器の集成・データベース化を進める。資料集成・データベース化においては、大学院生クラスのアルバイトを雇用して、作業を効率的に行う。また、鋳型を中心とした冶金関連遺物のほか、消失原型法を使用した可能性が想定される青銅器を中心に、国内外の機関が所蔵する資料の調査・研究を研究協力者と共同で進める。 ②対照鋳造実験の実施 前年度に実施した実験を検証するため、芦屋釜の里にて研究協力者とともに、突線状痕跡を有する青銅器の再鋳造実験とともに、土製鋳型を用いた蝋原型の溶解実験を実施する。。 ③実験製作試料の自然科学分析 これまでの対照実験で製作した鋳型や製品を対象に、研究協力者とともに材質・構造調査を進める。鋳造実験試料を切断・研磨し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた金属組織観察、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)による金属相化学組成の分析をおこなう。 ④現代の鋳造技術の調査 日本・中国・韓国において、伝統的な鋳造技術で製作を行っている工房を訪問し、具体的工程・使用 材料などについて調査・記録を行う。また、記録化された映像や民俗誌、文献史料などの記録の集成も進める。 ⑤成果の公表 これまでの調査・研究の成果を国内外の研究誌・論文集、ならびに学会発表にて公表する。
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