2017 Fiscal Year Annual Research Report
日中戦争下におけるスターリンと蒋介石の往復書簡の分析
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16H05950
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
麻田 雅文 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (30626205)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 蒋介石 / スターリン / 日中戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
学習院大学史学会大会において、2017年6月17日に本科研費にかかわるテーマで講演を行った。講演のタイトルをは以下の通りである。「蒋介石の書簡外交、1936ー41年 ヒトラー、スターリンとの往復書簡を中心に」。 本講演の内容は、のちに編集のうえ、以下のように発表している。「蒋介石の書簡外交、1936~1941年」(『学習院史学』56号、2018年2月)。 本講演では、蒋介石が何よりも対日戦のために、イデオロギーを問わず、各国と提携していたことを論じた。日中戦争の勃発前、最大の提携国はドイツであった。そのため、蒋介石とヒトラーの往復書簡が数通、残されている。中独関係は、日独防共協定の締結などで、日中戦争の勃発前後に転換点を迎えた。 そこで、蒋介石はソ連との連携を模索する。しかし、スターリンの対応は冷淡であった。それでも、蒋介石が手紙を送り続けなければならなかったのは、日中戦争で武器や資金を大量に供給してくれる国がソ連だったためである。スターリンとしても、蒋介石の要求に応えるように姿勢を転換してゆく。両国の関係が最も接近したのは1939年前半であろう。しかし、1939年8月の独ソ不可侵条約、1941年4月の日ソ中立条約で、再び中ソ関係は冷え込んだ。 なお、上記とほぼ同じ内容を、台湾の中央研究院近代史研究所で2017年9月に報告した。 なお、蒋介石とスターリンの往復書簡については、ほぼ収集を終えた。第二次世界大戦後のものに限っては、来年度、台湾で収集する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スターリンと蒋介石の往復書簡は、ほぼ全てを収集することができた。1941年から1945年までのフランクリン・ローズヴェルト大統領との往復書簡も入手している。当該時期のチャーチル首相との往復書簡については、まだ一部しか入手できていない。これら英米の指導者との往復書簡は、本筋であるスターリンと蒋介石の往復書簡の分析に、大いに役立つものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
往復書簡の分析を進める作業が、今後のメインとなる。なお、スターリンと蒋介石の往復書簡の内容については、2018年末に刊行される中国語論文集に寄稿する予定である。 往復書簡の分析だけでは、当時の国民政府をとりまく国際環境を読み解くことは難しい。他にも、各国に駐在した外交官や軍人たちの文書を読み解き、補う必要があるだろう。アメリカやイギリスにおける史料収集を積極的に進めてゆきたい。
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Research Products
(4 results)