2018 Fiscal Year Annual Research Report
IPO Listing Requirements and Firm Innovation
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16H05952
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山田 和郎 長崎大学, 経済学部, 准教授 (90633404)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IPO / コーポレートファイナンス / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,2000年前後に行われた新規株式公開(IPO: initial public offerings)市場に対する一連の上場基準緩和が,IPO企業のイノベーション活動に与える影響を明らかにすることである。新規株式公開をすることにより、企業の構造が大きく変化することが知られているものの、その具体的影響については分かっていない。 本年度は中小企業の個票データの分析に多くの時間を費やした。データの特性を明確化したところ、いくつかの特徴が確認された。特許などのイノベーション指標には多くの欠損値が含まれる、また0値の企業が多い。それらを考慮するため、推定に用いるサンプルを複数の方法でサブサンプルに分ける、マッチングを行ったうえでの差の差の検定など、複数の分析を行った。さらにイノベーション指標は企業ごとの差が確認されたことに加えて、産業ごとのばらつきが確認された。 結果としてはおおむね、上場基準緩和がイノベーション活動に負の影響を与える、あるいは無関係との結果が出た。結果はイノベーションの変数によってばらつきが存在する。ただし少なくとも上場基準緩和が正の影響を与えたとの結果は得られなかった。 これらの結果をもとに現在ディスカッションペーパーの作成を行っている。またこれらの内容については国内大学でのセミナーで報告を、また国際学会への投稿を行う。 また今後は、IPO企業の産業や地域との関係も追加検証することにより、今回の分析結果が企業固有の要因なのか、それ以外の要因によるものなのかを明確化する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中小企業の個票データを用いたイノベーションとIPO規制に関する一連の分析が終了したことから、当初予定通りに進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に国際学会での報告およびジャーナルへの投稿を行う。その過程で、研究協力者からの助言を適宜いただくことにより、質の高いジャーナルに採択されることを目指す。
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Research Products
(4 results)