2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H05954
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永吉 希久子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50609782)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 郵送調査法 / 無作為抽出 / 外国籍者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、29年度に実施する外国籍者を対象とした社会階層と社会意識についての調査を行うための準備を実施した。まず、調査対象地を抽出した。具体的には、外国籍人口割合をもとに3つに層化したうえで、それぞれの層から、人口比例抽出により、無作為に20(+予備3)の市区町村を抽出した。この際、外国籍人口が極端に小さい市区町村はあらかじめリストから外している。抽出のもとになる市区町村のリストは、2015年時点で日本全国に居住する外国籍者の人口の9割をカバーしている。これらの地域に暮らす外国籍者が母集団となる。 次に、抽出された69の市区町村に対し、電話調査を行い、住民基本台帳における外国籍者の取り扱いを調べた。その結果、外国籍者が名簿上何らかの仕方で区別されている市区町村は68と大部分を占めるものの、日本国籍者を除いた外国籍者の名簿から抽出が可能なのは6と非常に少ないことが明らかになった。名簿が分けられていない場合、人口のきわめて少ない外国籍者のみの抽出は非常に困難になる。 この調査結果を踏まえ、調査対象者の抽出方法の検討を行った。その結果、住民基本台帳のページを無作為抽出するという案を採用することにいたった。具体的には、外国籍者の人口割合をもとに、住民基本台帳の各ページに外国籍者が掲載されている確率を計算し、抽出すべき人数から逆算して抽出のために閲覧が必要なページ数を求め、乱数から一定間隔でのページの抽出を行う。そのうえで、各ページに最初に記載されている外国籍者を抽出する予定である。 これと並行して、先行研究のレビューを行いつつ、調査項目の検討と依頼状の作成を行った。依頼状については、英語、ポルトガル語、韓国語、中国語への翻訳も行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた住民基本台帳における外国籍者の取り扱いについての調査は終了し、それをもとに対象者の抽出方法も決定済みである。調査の実施に向けて、どのようにサンプリングを行うかは最大の問題であったため、この点が解決済みであることの意義は大きい。また、依頼状の翻訳はすでに終了しており、調査票の検討も予定通り進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
交付された額が予定よりも少なかったため、当初予定では日本国籍者と外国籍者を同時に調査する予定であったが、外国籍者を対象とした調査に限定する方針に計画を変更した。しかし、2015年には「社会階層と社会移動に関する全国調査」という大規模な社会調査が日本国籍者を対象に実施されており、この結果と比較することで、当初予定していたのとほぼ同じ枠組みでの分析が可能となる。 平成29年度の夏までには調査票を完成させ、秋から実査を調査会社を通して実施する予定である。
|