2017 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子多型と社会環境の相互作用が子どもの実行機能の発達とその脳内機構に及ぼす影響
Project/Area Number |
16H05956
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森口 佑介 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (80546581)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 実行機能 / 遺伝と環境の相互作用 / 乳幼児 / 前頭前野 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1年目において、COMT(カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ )遺伝子多型と実行機能の関連についての知見を得たため、研究2年目は、DRD4(ドーパミンD4受容体)遺伝子と実行機能の関連および、COMT遺伝子多型と社会環境の相互作用が実行機能の発達に及ぼす影響について検証した。 DRD4遺伝子は、ドーパミン受容体の1つであるD4受容体をコードする。この遺伝子の第3エクソンにおいて48塩基対の反復多型があり、2回や4回繰り返し多型を持つ人は、7回繰り返し多型を持つ人よりも、抑制機能課題の成績が良い。これは、前者のD4受容体の発現が多いためである。本研究では、子どものDRD4遺伝子多型と実行機能の要素の一つである抑制機能課題の成績、課題時の外側前頭前野の活動の関係、およびその発達的変化を検討した。その結果、DRD4遺伝子多型と抑制機能の課題の成績および課題時の外側前頭前野の活動には統計的に意味のある関係性は認められなかった。 次に、COMT遺伝子多型が、社会環境と相互作用して、いかに実行機能の発達に影響を及ぼすかを検討した。具体的には、子どものCOMT遺伝子多型と社会環境の相互作用が外側前頭前野の活動や実行機能の要素の一つである認知的柔軟性、日常的な自己制御行動に与える影響を検討した。社会環境要因として、養育態度とSES(社会経済的地位)に焦点をあてた。その結果、2つの成果が得られた。1つは、養育態度とCOMT遺伝子多型には相互作用が認められないという結果であった。もう1つは、SESとCOMT遺伝子多型の間に相互作用が認められたという結果であった。Val型は母親の教育歴には影響を受けなかったのに対して、Met型は母親の教育歴が高いほうが認知的柔軟性の成績が良かった。以上から、COMT遺伝子は、一部の社会環境と相互作用することが示された。
|
Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(9 results)