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2018 Fiscal Year Annual Research Report

恐怖条件づけの獲得・消去・再発の個人差に関わる認知機能と神経基盤

Research Project

Project/Area Number 16H05957
Research InstitutionSenshu University

Principal Investigator

国里 愛彦  専修大学, 人間科学部, 准教授 (30613856)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywords恐怖条件づけ / 認知機能 / ニューラルネットワークモデル
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は,恐怖条件づけの獲得,消去,そして再発の個人差に関わる認知機能と神経基盤を明らかにすることである。恐怖条件づけ研究によって,不安症の発症/維持メカニズムについて研究が進み,それに基づく心理的介入が展開されてきているが,人を対象とした恐怖の再発に関する研究はまだ多くなく,さらに学習過程の個人差に関する研究は少ない。本研究では,恐怖による驚愕反射増強パラダイムにおいて,恐怖条件づけの獲得・消去・再発の過程を命題アプローチとベイジアン認知モデリングを用いて検討する。さらに,学習過程の個人差にかかわるものとして認知機能と神経基盤の検討を行う。最終的には,恐怖条件づけに関するニューラルネットワークモデルを更新し,これまでの研究の統合と新たな視点を提供することを目的とする。
平成28年度から29年度にかけては,恐怖条件づけにおける命題の生成・評価過程と認知機能との関連を検討した。恐怖の予期とメタ認知との関連を検討したところ,メタ認知と恐怖の消去に関して関連が認められた。こちらは現在論文として執筆中になる。平成30年度は,恐怖条件づけの獲得・消去・再発における命題の生成・評価過程について脳波実験を実施した。実験にあたり,半年ほど予備実験を行い,最適な条件刺激と無条件刺激(恐怖刺激)の設定を行った。参加者の負担を考えると再発の検討を別日に設定するのは難しく,また無条件刺激の強度を上げると条件反応はロバストに生じるが,それが強すぎると参加者の苦痛が強くなるため,調整に多くの時間が必要であった。現在,収集した脳波実験データの解析を行っている。この結果を踏まえて,恐怖条件づけのニューラルネットワークモデルの提案を行う。なお,ニューラルネットワークモデルを含む計算論的アプローチについてまとめた『計算論的精神医学: 情報処理過程から読み解く精神障害』を平成30年度に出版した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成28年度から29年度にかけて,恐怖条件づけにおける命題の生成・評価過程と認知機能との関連を検討した。近年,心理学の再現性の危機が問題視されているが,恐怖条件づけにおいても同様であり,実験パラダイムの選択や実験パラメータの調整には多くの時間と試行錯誤が必要であった。恐怖の予期とメタ認知との関連を検討したところ,メタ認知と恐怖の消去に関して関連が認められた。こちらは現在論文として執筆中になる。
恐怖の獲得,消去,復元に関わる神経基盤について,脳波を測定して検証するために,平成28年度から脳波計のセットアップを始めた。平成29年度は先行研究の蓄積が多く波形が明らかになっている視覚的オドボール課題を実施し,先行研究と同じ事象関連電位を確認した。平成30年度は,恐怖条件づけの獲得・消去・再発における命題の生成・評価過程について脳波実験を実施した。実験にあたり,半年ほど予備実験を行い,最適な条件刺激と無条件刺激(恐怖刺激)の設定を行った。実験パラダイムの選択,刺激強度の調整に多くの時間が必要であった。現在,収集した脳波実験データの解析を行っている。
平成31年度は,上記の研究知見を踏まえて,恐怖条件づけのニューラルネットワークモデルの提案を行う。これに関しては,『計算論的精神医学: 情報処理過程から読み解く精神障害』,「臨床心理学と認知モデリング(心理学評論)」や「うつに対する計算論的アプローチ:強化学習モデルの観点から(心理学評論)」などの書籍や論文をまとめる中で検討する枠組みの検討や方法論の整理ができてきている。

Strategy for Future Research Activity

平成31年度は,これまで取得したデータの論文執筆を行いつつ,平成30年度に実施した恐怖の獲得,消去,復元に関する脳波実験データの解析を行う。平成31年度は,専修大学の特別研究員(特例)制度を活用し,Psychological Methods, Department of Psychology, Faculty of Social and Behavioral Sciences, University of Amsterdamに一年間滞在する。滞在先のベイズ統計学と認知モデリングの専門家とコラボレーションしつつ,研究を進めることを予定している。特に脳波解析については,事象関連電位の検討やLORETAなどの信号源推定を行うと同時にネットワークなどの検討も行うことを予定している。
なお,平成31年度は,国里が国内におらず,国内でのデータ収集が難しいため,ウェブ実験を行うことを予定している。既に平成30年度にウェブ実験を実施し,メタ認知,内受容感覚,不安との関連について検討を行った。平成31年度も引き続き,生理データだけでなく,ウェブ経由での実験についても行うことで研究知見の幅を広くすることを予定している。
最後に,上記の実験データを基にして,恐怖条件づけに関するニューラルネットワークモデルを提案することを予定している。これに関しては,すでに,先行研究で用いられたプログラムコードを取得している。しかし先行研究のニューラルネットワークモデルは強化学習モデルがベースになっており,ネットワークモデルにこだわらずに強化学習モデルやベイズ推論モデルも視野にいれて計算論モデルの構築を目指すことを予定している。

  • Research Products

    (8 results)

All 2019 2018

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] うつに対する計算論的アプローチ:強化学習モデルの観点から2019

    • Author(s)
      国里愛彦・片平健太郎・沖村 宰・山下祐一
    • Journal Title

      心理学評論

      Volume: 62 Pages: 88-103

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 臨床心理学と認知モデリング2018

    • Author(s)
      国里愛彦
    • Journal Title

      心理学評論

      Volume: 61 Pages: 55-66

  • [Presentation] 抑うつとリスクテイキング行動との関連:Automatic BARTに対するベイジアン認知モデリングの適用2018

    • Author(s)
      中川卓知・国里愛彦
    • Organizer
      日本認知・行動療法学会第44回大会
  • [Presentation] マインドフルネスと痛みの関連2018

    • Author(s)
      土原浩平・石金浩史・国里愛彦
    • Organizer
      日本認知・行動療法学会第44回大会
  • [Presentation] 新たな過剰適応傾向尺度作成の試み2018

    • Author(s)
      井口聖香・大久保街亜・国里愛彦
    • Organizer
      日本認知・行動療法学会第44回大会
  • [Presentation] ベイズ統計から見た新たな健康アセスメントとその評価2018

    • Author(s)
      国里愛彦
    • Organizer
      日本健康心理学会 第31回大会
    • Invited
  • [Presentation] 公募シンポジウム「心理学における機械学習アプローチの可能性」(司会)2018

    • Author(s)
      国里愛彦
    • Organizer
      日本心理学会第82回大会
  • [Book] 計算論的精神医学: 情報処理過程から読み解く精神障害2019

    • Author(s)
      国里愛彦・片平健太郎・沖村 宰・山下祐一
    • Total Pages
      315
    • Publisher
      勁草書房

URL: 

Published: 2019-12-27  

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