2017 Fiscal Year Annual Research Report
半導体・酸化物複合ナノワイヤ材料の確立と光触媒応用
Project/Area Number |
16H05970
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
石川 史太郎 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (60456994)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノワイヤ / 化合物半導体 / 分子線エピタキシー / 白色発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では物質として、I. 化合物半導体GaAs/AlGaAs、このAlGaAsを酸化させて作製するII.アルミナ系酸化物(AlGaOx)、およびIII. 酸化チタン(TiOx)のナノスケール機能に注目し、これらを組み合わせた新ナノワイヤ材料を確立し、光触媒応用することを最終目的として研究を実施している。 本研究期間中には、①試料作製技術の確立として、高品質GaAs/AlGaOx/TiOヘテロ構造ナノワイヤ作製のため、結晶成長と酸化技術を確立する。次に、②特性の把握のため、各構成層の構造・光学・電気物性を詳細に把握し、その後複合構造の特性を調べる。最後に、③デバイス応用として、デバイスを実際に作製し、光触媒効果とpnダイオード特性を実証する。 着手2年目となる今年度は、昨年度作製に成功したGaAs/AlGaOxヘテロ構造ナノワイヤのより高度な結晶成長技術確立と、その特に光学特性に注目した物性把握について検討を行った。その結果、超格子構造を含むGaAs/AlGaAsコアーシェル型ヘテロ構造ナノワイヤの成長に成功、さらに最外殻のAlGaO層は加熱処理を行う水蒸気酸化ではなく、自然酸化でも形成できることを見出した。さらに同構造は、内部GaAsコアの発光強度を保持・増強することに有効であることを確かめた。これまで作製に成功していた水蒸気酸化で得たAlGaOx層からの白色発光は、偏光特性を有することを見出し、新しい光源としての可能性も見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年Si基板上で基板表面を覆いつくす大面積のGaAs/AlGaOxコア-シェルナノワイヤ群を形成することに成功し、それらからの室温での良好な白色発光を観測した。同ワイヤに対して偏光カソードルミネッセンス測定を行ったところ、特定の波長で偏光が確認された。これより同材料の特徴的な光源としての応用可能性を示すことができた。さらに、酸化物を得るための従来行っていた水蒸気酸化に加えて、高いAl濃度のAlGaAsを最外殻に配置したコアーシェル構造を用いることで、大気暴露による自然酸化のみで酸化膜が形成できる技術を確立した。同酸化膜は非常に安定であるとともに、内部GaAsコアの光学特性を保持・増強させられることを確認した。さらに、成長技術の高度化により、AlGaAs/GaAs超格子構造を内部に導入することも可能にした。 以前より取り組む窒素によるナノワイヤのパッシベーションや、赤外域応用、高効率化のためのBi添加についても記録を整理し、上述の結果とまとめて化合物半導体ナノワイヤの専門書籍を本年度出版することができた。[Novel Compound Semiconductor Nanowires - Materials, Devices, and Applications, Fumitaro Ishikawa and Irina A. Buyanova, ISBN 978-981-4745-76-5, September 2017, Pan Stanford Publishing.]
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに、確かな化合物半導体/酸化物を融合させたナノワイヤ材料を開拓し、報告することができた。今年度はその成果を踏まえ、デバイス応用を見据えた研究に移行する。 具体的には以下の項目に取り組む。 ①ナノワイヤヘテロ構造へのpn接合導入、ドーピングと評価技術の確立②光触媒応用を見据えた、ナノワイヤ最外殻へのTiO2膜形成技術の確立③大出力のデバイス応用へ向けた、Si大面積基板上に大面積にナノワイヤを形成できる技術の確立、を行う。 具体的には分子線エピタキシャル成長により①、②に取り組み、その技術の高度化を図る。透過型電子顕微鏡観察により構造を確認し、電気特性把握のための技術構築に着手する。TiOの形成は分子線エピタキシャル成長装置でin-situの膜形成を行うか、確立されている外部装置での形成手法の双方を検討する。実験に用いるSi基板をより大型化させ、関連技術を将来の実用を見据えた手法に構築・再構成していく。
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Research Products
(13 results)