2017 Fiscal Year Annual Research Report
Hierarchical dynamics of crystal-melt interfaces
Project/Area Number |
16H05979
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村田 憲一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60646272)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 結晶成長 / 相転移ダイナミクス / 表面・界面物性 / 共焦点顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究提案において我々は、高さ方向について原子間力顕微鏡と同等の分解能(一分子レベル)を持つレーザー共焦点微分干渉顕微鏡(LCM-DIM)と呼ばれる独自の光学顕微鏡を用いて、結晶-融液界面、特に氷-水界面のその場観察を行い、成長-融解界面における動力学を解明することを目的としている。
平成29年度は、初年度(平成28年度)に導入した温度勾配型顕微鏡観察セルを用いて、当初の目標であったLCM-DIMによる氷-水界面のその場観察を行った。この観察セルは、温度勾配を作ることで氷-水の界面位置を制御し、成長、融解、0℃平衡界面のより精密なその場観察を可能にする。その結果、特に融解過程の界面においてバルク水とは異なる新たな液体層が局在・生成することを見出した。更に興味深いことに、LCM-DIMによるその場観察では、氷界面状の欠陥ダイナミクスも同時に確認することができた。一方、成長過程における氷-水界面のその場観察では、結晶成長における最も基本的な成長メカニズムの一つである渦巻成長の観察に成功した。反射率が0.01%程度の氷ー水界面においてステップを可視化できたことは我々にとっても予想外の結果であったが、融液中でのステップのその場観察の研究は他に例がなく、インパクトのある結果であるといえる。
なお、本研究に必要な実験系の構築(特に高感度位相差顕微鏡システム)は昨年度で終えることができた。また、平成28年度に行った疑似液体層内部での氷の結晶成長(この系も特殊ではあるものの、氷-水界面の一種といえる)に関する研究についても、昨年度に論文として纏め、投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であり、また昨年度の研究計画にも据えていた、水-氷界面における新たな液体層の生成を確認することができた。加えて、氷の融液成長界面での渦巻成長のその場観察にも成功した。また上記の通り、平成28年度に行った疑似液体層内部での氷の結晶成長に関する研究については、論文として纏めており、現在投稿中である。
以上から、研究計画はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究により、当初の目標であった氷ー水界面においてもバルク水とは異なる新たな液体層が出現することが明らかになった。我々はこの液体層が融解過程での氷-水界面で生成することを発見したが、その場観察では液体層の生成と同時に、氷界面状の欠陥ダイナミクスも可視化できた。今年度の研究では、この氷の欠陥と新たな液体層の生成との間の関係について明らかにする予定である。
一方、成長過程における氷-水界面のその場観察では、結晶成長における基本的な成長メカニズムの一つである渦巻成長の観察に成功した。融液成長中での渦巻きステップのその場観察の研究例は他になく、インパクトのある結果である考えられる。
今年度は以上2点の研究を進めると同時に、研究発表および論文執筆を精力的に行い、本研究の総括を行う予定である。
|
Research Products
(7 results)