2016 Fiscal Year Annual Research Report
共振器型回折放射による誘導放出テラヘルツ光源の開発
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16H05991
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
本田 洋介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (40509783)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 加速器 / レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度のコンパクトERLのビーム運転で、本実験の装置を設置する予定位置において、ビームエミッタンスの測定を行った。また、バンチ圧縮運転の調整手法およびバンチ長の測定手法を確立した。この結果をもとに、装置のパラメータを決定した。目標とする放射の周波数を0.5THzと想定すること、共振器のビーム通過穴を直径3mmとすること、とした。また、加速器のビーム光学系も検討し、共振器の位置で収束されるように設計した。 真空チェンバシステムと誘導回折放射の共振器を、加速器の運転停止期間を利用してKEKのコンパクトERL試験加速器に装置を設置した。共振器の精密なアライメントと、遠隔による操作システムを整備した。テラヘルツ光は空気中の水蒸気により吸収される。装置雰囲気を乾燥空気で置換するシステムを整備した。 本年度のビーム運転において、低エミッタンス化および短バンチ化について、ビーム性能の追求を進めた。とくにバンチ圧縮調整については昨年度よりも短い結 果が得られ、調整が進んだ。電子ビームサイズを収束する調整を行い、共振器の3mmの穴を通過させるのに十分なサイズである、0.25mmのビームが得られた。ビーム軌道を精密に調整し、共振器にビー ムを損失無く通過させることに成功した。共振器長を精密にスキャンしながら、発生するテラヘルツ帯域の放射強度を測定した。共振器長がバンチ繰り返しに一 致する条件で鋭い共鳴が観測され、本研究で原理実証の目標とした誘導放出の現象を確認した。測定帯域の切り替え、共振器に邪魔板を挿入、等の条件を変えた 測定も行い、現象の理解を進めた。また、共鳴ピークの安定性についてのデータも取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
装置の設置とデータ収集系の整備が順調に進み、年度最後の加速器運転期間に実験を行う事が出来た。困難無く電子ビームを装置に通過させる事ができ、装置が良くアライメントできていることが確認できた。 最初のビームタイムにおいて、誘導放出現象の信号の測定に成功した。鋭い共鳴信号が得られ、共振器が損失の十分小さな状態に構成できていることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に誘導放出の原理検証に成功した。次は、より詳細な特性の評価に進む。 次年度のビームタイムでは、共振器の発振の立ち上がりや減衰の、時間発展を計測する予定である。共鳴点に依存したテラヘルツ光の偏極を測定し、分裂したモードの特性を調べる予定である。また、テラヘルツ光を放射したことによるビームの減速を確認したい。ビーム損失の低減を進め、連続運転と両立するかの見極めも行う予定である。 加速器の放射線シールド内に装置が組み込まれており、すべての操作は遠隔で行う必要があり、限られた加速器運転期間で行うには実験の効率が良くない。本研究は、次年度からの基盤Bの新規課題に引き継がれる。シールドの外までのテラヘルツ輸送ラインを整備する計画である。これによって、実験が効率的に進められる。
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Research Products
(4 results)