2017 Fiscal Year Annual Research Report
KK-XAFSの高度化による構造材料の表面腐食過程の理解と耐腐食性材料への展開
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16H05992
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
阿部 仁 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (00509937)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 全反射 / XAFS / 表面 / IRRAS |
Outline of Annual Research Achievements |
構造材料は表面からの腐食等により寿命を迎えるが、腐食の進行機構の詳細は不明な点も多い。不動態皮膜の典型的な厚みは数nm程度であり、最表面から数nm程度までの表面領域での腐食過程の理解が極めて重要である。 本課題では、これまで開発してきたKramers-Kronig変換を用いた表面敏感な全反射型XAFS測定手法(KK-XAFS)の高度化を行い、構造材料表面の腐食反応過程のin situ観察からその理解を目指す。 今年度は、KK-XAFS法と赤外反射吸収分光法(IRRAS)を同時に測定可能とする実験環境の開発を行った。また開発した実験環境で使用可能な in situ 測定チェンバーの設計、製作を行った。この in situ 測定チェンバーの完成により、酸化および腐食ガス雰囲気下の測定が可能な研究環境となった。 上記の開発した実験環境を用いて、KK-XAFSとIRRASを同時に測定可能であることを実証する実験を行った。試料にはNi(30 nm)/Si waferおよび表面を酸化させたNiO/Ni(30 nm)/Si waferを用いた。KK-XAFSはX線を数mradで全反射させる必要がある。その設置条件に、IRRASの赤外レーザーの光路、検出器の位置等を合わせる必要があり、両者は精密に位置合わせされなければならない。試行錯誤も含め、位置合わせを注意深く行い、実証実験の測定を行った。その結果、確かにKK-XAFSとIRRASが同時に測定可能であることが確かめられた。また、KK-XAFS, IRRASそれぞれにおいて、各試料に特徴的なスペクトル構造が得られ、今後の研究展開に有効であることも確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、全反射型XAFS測定法の測定条件において同時にIRRASを測定する実験環境を開発し、その実証が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り進める。
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