2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H05994
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大川 新之介 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (60646909)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 代数多様体 / 導来圏 / 非可換代数幾何学 / 双有理幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
射影的代数多様体XとYの連接層の導来圏が同値であるとき、代数多様体のGrothendieck環の中でXとYのクラスの差を取ったものがaffine直線のクラスの冪で零化されるか?という問題を16年度に伊藤敦、三浦真人、植田一石諸氏らと提唱した(Kuznetsov-Shinderも独立に提唱)。今年度はこの問題にアーベル多様体による反例があることを発見し(Efimovも独立に発見)、arXiv:1612.08497に発表した。これにより問題の修正が必要となったが、有力な修正法の候補を見つけた。その修正版の問題(予想)に取り組むのは今後の課題である。一方、高次元の超Kahler多様体による非自明な例が無かったので、arXiv:1801.09385において最初の例を構成した。 プレプリントarXiv:1707.00834においては、b-因子を境界にした極小モデル理論の基礎を整理した。特に双有理同値類の中でb-端末なモデルの存在を示し、錐体定理やflipの存在、停止問題が通常の対数対に対する結果から自動的に従うことを確認した。この仕事の動機は中心上有限な非可換代数多様体の分類理論の構築である。関数体およびそのBrauer類の対を考えると関数体のモデルたちの上にBrauer類の分岐を表すb-因子が定義され、それを境界とする対数標準因子はBrauer類を実現する極大orderの双対化層と然るべき意味でcrepantになる。これにより、非可換代数多様体の極小モデル理論がb-極小モデル理論の例となるわけである。 非可換代数曲面に関する諸共同研究も引き続き進め、特に、AS-正則 I-代数を基礎に据えることで非可換del Pezzo曲面の統一的な扱いを可能とする枠組みが確立してきた。 関連する研究として、arXiv:1803.03819において正標数正規曲面の基底点自由化定理を完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、本年度はこれまでの研究成果の一部を複数のプレプリントとして発表することができた。また、非可換代数曲面(非可換del Pezzo曲面と非可換Hirzebruch曲面)に関する研究も着実に進んでいる。以前より続けている特異曲線の圏論的特異点解消に関する研究についても、圏の半直交分解のcombinatoricsやSerre functorの具体的計算法がようやく明瞭に把握できてきた。 これまでに続けてきた半直交分解に関する研究についても新しいアイディアが見つかり、共同研究者と共に検証を開始した。また、今年度はベルギーを訪問し、Michel van den Bergh氏らと共にある種の3次元非可換射影空間内の3次超曲面の構造を理解するための研究を進めた。また、正標数の商特異点の圏論的解消について同氏と議論して、幾つかの観察を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き共同研究者らと各課題について研究打ち合わせを重ねて、研究を進めていく。2017年度に新たに見つかった研究課題についても意欲的に取り組んでいきたい。
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Research Products
(11 results)