2017 Fiscal Year Annual Research Report
Search for double beta decay of xenon by polyhedral approach
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16H06004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平出 克樹 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (10584261)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / 二重ベータ崩壊 / 二重電子捕獲 / キセノン |
Outline of Annual Research Achievements |
ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊は素粒子標準理論を超えた現象であり、もし観測されればニュートリノがマヨラナ粒子であることの証拠となり素粒子物理学にとって非常に大きな発見である。本研究は、岐阜県飛騨市にある神岡鉱山の地下1,000メートルに設置した大型液体キセノンシンチレーション検出器XMASSを用いて、136Xeの二重ベータ崩壊だけでなく124Xeの二重電子捕獲等の探索も同時に高感度で行うことで、ニュートリノ質量および右巻きカレントの寄与を識別してニュートリノのマヨラナ粒子性の真髄に迫るものである。本年度は、安定したデータ収集を続けながら、124Xeのニュートリノを伴う二重電子捕獲の探索を行った。ニュートリノを伴う二重電子捕獲はまだ2つの核種でしか観測されておらず、その半減期を測定することで、原子核行列要素の計算の改善につながると期待されている。本研究では、液体キセノンシンチレーションの発光時間プロファイルを利用したベータ線とそれ以外の粒子識別の手法を新たに開発することで、より高感度の探索を可能にした。また、信号エネルギー領域のバックグラウンド事象の理解が進み、有効体積も前回の解析に比べ8倍に拡張することに成功した。2013年11月から2016年7月までの800日分のデータを用いて、探索を行ったが有意な信号は観測されなかった。そのため、124Xeの二重電子捕獲の半減期に対して90%信頼度で2.1x10^{22}年以上という世界で最も厳しい制限をつけた。また、ニュートリノを伴わないモードの探索のため、数MeV領域での検出器応答やバックグラウンドのスタディを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度行ったニュートリノを伴う124Xe二重電子捕獲の探索は、本研究の計画当初には予定していなかったが、我々が既に取得した2年分のデータを使えば、これまでにつけた半減期への制限を大きく上回る感度の実現が見込まれたため、優先的に進めた。本研究の最終目標であるニュートリノを伴わない崩壊モードの探索についてもスタディを進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2-3MeVエネルギー領域において全体積で観測されたエネルギースペクトルおよび反応点分布をモンテカルロシミュレーションから期待される分布でフィットすることにより、124Xeおよび136Xeのニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の探索を行う。
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Research Products
(3 results)