2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H06005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三宅 芙沙 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90738569)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 宇宙線生成核種 / 大規模SEPイベント / 樹木年輪 / 氷床コア |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模なSolar Energetic Particle(SEP)イベントが発生すると、それに伴って放出された高エネルギー粒子により、人工衛星の故障や通信網の破壊等甚大な被害が引き起こされる。これまでに樹木年輪の炭素14(14C)データを用いて、AD774-775年とAD993-994年、さらにBC660年ごろに大規模なSEPイベントが生じた痕跡が示された。その規模は観測史上最大のSEPイベントの10倍以上と推定される。過去の大規模なSEPイベントの発生頻度を知ることは、今後のイベントに備える上で非常に重要である。本研究では、過去5000年間の年輪中14C濃度の単年分解能(隔年間隔)連続測定を行い、大規模なSEPイベントの発生頻度を明らかにするとともに、大規模なSEPイベント発生と太陽活動度との関係の解明を目的としている。 当該年度は、未測定期間における年輪の14C測定を進めるとともに、南極ドームふじ氷床コアの10Beと36Cl濃度の測定から、AD993/994年、BC660年ごろ、BC5480年ごろの宇宙線イベントについて、原因がSEPイベントかどうかの検証を行った。また、775年と994年のイベントと太陽の11年周期であるシュワーべサイクルとの関係性に関する議論を行った(Scifo et al. 2019)。さらに、BC660年ごろのSEPイベントについて、早材・晩材に分けた詳細な14C分析から複数のSEPイベントが連続発生した可能性を示した(Sakurai et al. 2020)。さらに、SEPイベントをはじめとする極端太陽現象に関する図書の出版を行った(Miyake et al. 2019)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、自動グラファイト化装置についての性能評価を行い、セルロースからグラファイトまでの工程を全自動で実現した。グラファイト試料の14C濃度も従来の手動グラファイト化装置を用いるよりも低バックグラウンド下での分析が可能であり、大量試料の14C測定に対する準備が整った。自動グラファイト化装置を用いた年輪試料の測定を開始した。 また、これまでに見つかっている宇宙線増加イベントの原因に関する理解を深めるため、南極ドームふじ氷床コアの10Be、36Cl濃度の測定を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、自動グラファイト化装置を用いて、予定している年代の14C濃度を引き続き測定する予定である。次年度得られるデータから予定している年代における大規模SEPイベントの発生頻度について解明する。また、太陽型恒星フレアの頻度と比較し、恒星としての太陽についての知見を深める。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Introduction2019
Author(s)
Usoskin I、Miyake F
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Journal Title
Extreme Solar Particle Storms: The hostile Sun(book chapter)
Volume: -
Pages: 1:1-1:3
DOI
Int'l Joint Research
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