2016 Fiscal Year Annual Research Report
強相関酸化物のナノ空間制御による10-100nmスケール電子相の相転移特性解明
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16H06011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
服部 梓 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (80464238)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノ電子相 / 強相関金属酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
典型的な強相関電子系酸化物である (La,Pr,Ca)MnO3 (LPCMO)およびVO2の転移過程ではナノ相分離現象が見られ、金属相と絶縁相が~101-103nmサイズで共存する。絶縁体-金属転移(IMT)発現の最小単位である単一電子相の物性をデバイスとして制御した新奇ナノデバイス展開を目指して、独自技術であるボトムアップ手法であるパルスレーザー堆積法(PLD)を主とした3DナノテンプレートPLD法を用い、サイズ・位置を精密に制御した極微細なナノウォール細線(nw)構造を作製した。電子相物性を明らかにするために、にナノウォール細線の測定領域をナノスケールにまで局所化し、数個程度のナノ電子相の転移特性観測を行った。さらに、ナノ電子相の特性を電界で直接制御することを期待目的としnwトランジスタのデバイス構造の創製を行った化を試みた。 線幅80 nmのVO2 nw細線は、350 K付近でIMTに伴う抵抗変化を示し、薄膜では観測されなかった微小な抵抗の飛びが観測された。これは細線中にナノ電子相が閉じ込められている約150個の電子相のIMTに由来する。ナノ電子相のサイズ・数を定量的に評価するために行ったシミュレーションからを行った。その結果、電子相の大きさは30-50 nmと示唆された同定された。さらに電極間距離の縮小により、電子相10個のIMTを反映したsteepな抵抗変化を抽出することに差成功した。 マンガン酸化物では、線幅80 nmのLPCMOナノウォール細線をチャネルに持つFETの創製に成功した。このナノ細線EDLTのゲート電圧印加時のチャネルの抵抗を観察することに成功した。VG = 0 Vでは96 KでIMTが起きているが、-2 V印加により転移温度の高温シフト、抵抗変化率の減少が観測された。今後はチャネルのナノ構造化の効果を明らかにし、ナノデバイス展開への指針を得ていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた、従来不可能で有ったサイズが10-100 nmの強相関電子系マンガン酸化物、ニッケル酸化物の極微3次元ナノ構造 (ナノワイヤ、ナノウオール)を独自の手法で作製し、物性の起源であるナノ電子相ドメインを閉じ込め制御した状態を作り出す、は計画通り遂行できた。単一電子相の金属-絶縁体転移特性の評価も行い、シュミレーションと組み合わせることでVO2の転移点の分布を明らかにできた電子相ドメインサイズの分布測定んは至らなかったが、次年度の課題であるナノ電子相ドメイン評価測定を少し前倒しで実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の成果はヘテロ構造による様々な物質のナノ細線化の可能性を与えると共に、試料の微細化、測定領域の局所化が物性の本質の解明や応答性の巨大化に有効であることを実証した。この起源である電子集団の配置・特性分布を、空間分解能を有する物性測定・分光法(コンダクティブ原子間力顕微鏡:c-AFM)、申請者らが確立したエネルギー移動カソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡(ETCL-SEM)により明らかにする。加えて、転移特性の外場応答性の測定を行い、相転移特性の相関関系を調べる。
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Research Products
(8 results)