2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H06014
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
村川 智 東京大学, 低温センター, 准教授 (90432004)
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2016-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 低温物性 / 物性実験 / 量子凝縮系 / 超流動 / ヘリウム3 / 表面状態 / トポロジカル / マヨラナ状態 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度も引き続き実験準備を行っている。
本研究では黒体輻射体から準粒子ビームをさまざまな角度で打ち込むことが実験の一番肝要なところであるが、そのためには10ミリケルビン以下の超低温で試料空間の真空容器内で構造体を動かす必要がある。本年度は購入した超低温高真空用のステッピングモーターが実際、低温で動作するのか確認した。液体ヘリウム温度中でも目視で動作していることが確認できたので、本研究で使用できるものであることが分かった。
黒体輻射体の射出する準粒子ビームをコントロールする温度計とヒーターには音叉方水晶振動子を使用する。温度計とヒーターは同時に使うため、近しい共鳴周波数を持つ振動子を近接して設置すると生じるクロストークの観測を行い、実際の測定の際には共鳴周波数が大きく異なるものが必要であることを確認した。そこでサイズの異なる、つまり共鳴特性の異なる振動子を用意し、その振る舞いの違いを調べ、実験に使用するサイズの選定を行った。
希釈冷凍機の立ち上げに関しては、実験室の整備を行い、各種配管、配線の確認ができ、実際に冷却テストを行う直前までの準備はできた。しかしながら、所属機関のヘリウム供給体制が不安定になったため、冷却だけのテストは見送り、測定に必要な同軸ケーブルおよび試料導入用キャピラリーの敷設を行っている。また、冷凍機の最低温度を測定するヘリウム3融解圧温度計の作成に着手した。
また、実験セルおよびヘリウム3融解圧温度計へヘリウム3ガスを導入するために必要なガスハンドリングシステムの構築を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概要で示したように、希釈冷凍機の運転の準備が完了した時点で、所属機関の東京大学でヘリウム供給が制限されることとなり、冷却テストを行うことができていない。そのため、予定を変更して冷却テストを実施する前に試料導入ラインの敷設を前倒しで行っている。
同様に音叉型水晶振動子のヘリウム温度・真空中でのテストも実行できていない。しかし、予備実験セル自体は完成しており、窒素温度までのテストは実行できている。また、試料導入用のガスハンドリングシステムも完成しており、希釈冷凍機への搭載の準備は整っている。そのため、冷凍機への試料導入ラインの敷設が終り次第すぐにテストができるようになっている。
実験セルの具体的なデザインはほぼ完成している。
また、希釈冷凍機及びその先の核断熱消磁冷凍機をにらみ、温度を正確に測るヘリウム3融解圧温度計の作成に着手した。
総合的に見て進捗はやや遅れているが、測定の準備はすすんでおり、次年度以降に本格的に研究を始める準備が完了していると考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度は希釈冷凍機の冷却テストおよび予備用実験セルによる希釈冷凍機温度での実験を行う。冷凍機の能力を確認の後、本実験に必要なサブmKの温度領域を自前で用意するか共同利用の申請を行うか検討する。
また、希釈冷凍機温度でのステッピングモーターの発熱及び動作の確認を行い、運用する際の条件を調べる。
黒体輻射セルは実際の作成に入り、核断熱消磁冷凍機に搭載し、ヘリウム3の表面に準粒子ビームを入射させ表面状態の分散関係を探る。最初は先行実験と同様に鏡面散乱である自由表面を対象とし、準粒子の入射角の浅いもので比較を行い、測定の問題点を洗い出す。そののちさまざまな角度で準粒子ビームを打ち出し表面による量子アンドレーエフ反射の角度依存性を観測する。また、角度依存性だけでなくエネルギー依存性の観測にも着手する。
その後、散乱条件を変えるため、自由表面でなく通常の壁を境界とした測定を行い、鏡面条件で得られた結果と比較し、表面状態の散乱条件依存性を明らかにしていく。
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| Remarks |
平成28年度低温センター年報
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