2016 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素ナノグラフェンの迅速モジュラー合成と機能開拓
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16H06030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 慎庫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90508194)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 含窒素ナノグラフェン / アザコラニュレン / 芳香族炭化水素 / 有機合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノグラフェンに窒素原子を導入した「含窒素ナノグラフェン」は、炭化水素とは異なる構造をもち高い機能発現が期待できる。本研究では独自に開発した新規アゾメチンイリドを基本モジュールとして用いて、多種多様な形状の含窒素ナノグラフェンの短段階迅速合成を行う。初年次である平成28年度は、当該アゾメチンイリドの基礎的な反応の探索およびボウル型分子であるアザコラニュレンの機能探索を主に行なった。 1) 当該アゾメチンイリドをアルケン、アルキン、イミンなどの不飽和分子の他、グラフェンやナノグラフェンなどの炭素材料との反応を検討した。多くの場合で良好に付加環化反応が進行することがわかり、含窒素ナノグラフェン合成へ展開することができた。 2) ボウル型分子であるアザコラニュレンの周縁部に水素置換基のみを有する化合物を合成し、ここからさらにC-H結合をイリジウム触媒を用いて多重ボリル化することで周辺部を選択的に化学修飾する方法を確立した。クロスカップリング反応等の分子変換反応を通じて得られたボリル化体のさらなる誘導化を狙った。 3) 本研究を遂行する中で、ロジウム触媒による縫合反応を用いてジベンゾ[a,e]ペンタレンを合成する手法を開発した。本手法では二種類の異なる基質を縫合するように結合形成を行うため非対称な縮環をもつ化合物が合成できる点が特徴であり、ピリジン環やチオフェン環などの様々なヘテロ芳香環をもつ非対称ジベンゾ[a,e]ペンタレンも得られた。今後さらにπ拡張をしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基本モジュールである新規アゾメチンイリドの反応性をおおむね明らかにすることができた。得られた生成物の多くを含窒素ナノグラフェンへ誘導化することができた。一部の含窒素ナノグラフェンについてはさらなる化学修飾法を確立することができた。順調に推移していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はより難度の高い曲面構造をもつ含窒素ナノグラフェンを合成し機能探索をする。計画の詳細は以下の通りである。 【ボウル型分子】アザコラニュレンの深化および”ダブルアザコラニュレン“の合成:平成28年度までにC-Hボリル化を用いて周辺部に置換基を導入する方法を確立した。平成29年度は、さらに様々な置換基を有するアザコラニュレン誘導体を合成し、アザコラニュレンの超分子体としての応用を検討する。結晶性誘導体は半導体として有機電界効果トランジスタとしての応用を、液晶性誘導体は強誘電材料としての応用を狙う。また二官能性モノマーを用いて”ダブルアザコラニュレン”の合成に挑戦する。 【複合型分子】燃料電池の代替材料へ向けた含窒素カーボンアロイの開発:アゾメチンイリドと[60]フラーレンなどの炭素材料との生成物を脱水素酸化することでナノカーボン/アゾメチンイリド複合体を合成する。こうして得られる含窒素ジグザグ端構造は燃料電池の酸素還元反応に高い触媒活性を示すと予測されるので、燃料電池電極として利用し、高活性な酸素還元触媒を開発する。
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Research Products
(5 results)