2017 Fiscal Year Annual Research Report
錯体ナノ空間の動的特性を利用した光・吸着エネルギー変換物質の創製
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16H06032
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 亮太郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00402959)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノポーラス金属錯体 / 光反応 / 吸着熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.光照射によって[2+2]環化付加反応を示す新規ナノポーラス錯体を発見し、光によって空間構造制御が可能であることを示し、さらに通常は不可能と信じられている芳香環が光環化付加する反応を発見した。また、この光環化付加反応は二重結合間距離がシュミット則として知られる、一定の値でなければ反応しないとされてきたが、その範囲から1Åも逸脱している状態でもナノ空間内で反応するという異常な反応が進行することを発見した。このことは、結晶においても分子が空間何でダイナミックに運動していることによるものと考えられる。 2.ジアゾ基を有するフルオレン誘導を骨格内に有する新規ナノポーラス金属錯体の合成に成功した。このナノポーラス金属錯体に対し、光照射を行うことによってナノ空間内にカルベンを発生させる事に成功した。また、光照射下での電子スピン共鳴その場測定システムを構築し、三重項カルベンがナノ空間内で安定に発生することを確認した。 3.昨年度までに構築した、吸着熱と吸着量を同時に観測可能なシステムによって、様々な構造柔軟性を示す、ナノポーラス錯体のガス吸着過程における熱量測定を実施した。その結果、構造柔軟性を示すナノポーラス錯体において、構造変化に伴う吸熱が観測され、これに続いて吸着に伴う発熱が観測された。すなわち、吸着による発熱が構造変化による吸熱で相殺されており、ナノポーラス錯体における構造柔軟性は大きな省エネ効果がある事がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
通常は反応が不可能であるような距離にある2つの分子がナノ空間では光反応を示すという、異常な現象を発見し、当該研究の構造設計指針に関して、大幅な広がりを持たせることが可能になって点で、非常に大きな進展があったとえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において新規に発見した、ナノ空間内に発生させた不安定種の化学的性質や安定性などの物性をより詳細に検討を進める。また、光反応による空間構造変化が熱移動現象と連動している様子を、これまでに開発した測定装置によって、直接観測することを試み、光エネルギー変換物質の検討を進める。
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Research Products
(34 results)