2016 Fiscal Year Annual Research Report
革新的な付加価値を持った発光性メカノクロミック材料の開発
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16H06034
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関 朋宏 北海道大学, 工学研究院, 助教 (50638187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発光性メカノクロミズム / 相転移 / 金錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
発光性メカノクロミズムとは、機械的刺激がきっかけとなり、固体の発光特性が変化する現象のことである。本研究の目的は、従来とは異なる付加価値のある機能をもつメカノクロミック材料を体系的に開発することである。具体的には、分子アクチュエーターを利用したメカノクロミズムの発現や、キラリティ、赤外発光特性、超多色応答特性を有するメカノクロミック分子を新規に、かつ体系的に開発することを目的とする。すなわち、革新的なメカノクロミック材料および新規刺激応答性を示す材料の開発を試みている。 本年度は、多様な小分子を包摂し、包接小分子の種類に応じて発光色が変化する芳香族金イソシアニド錯体を発見した。小分子を添加するという簡便な実験操作によって、包接小分子を入れ替えることが可能であった。更に、機械的刺激によってアモルファス化し、包接ゲストをリリースし発光が切り替わることを明らかにした。小分子の添加とすりつぶしによるリバーシブルな状態(材料の相転移、小分子の包接/リリース、発光特性)の変化は、少なくとも5回以上のサイクル繰り返すことができ、実用的な特性を明らかにすることができた。 これらの成果を踏まえて次年度は多様な実験課題に取り組む予定である。適切な錯体分子の構造の改変を行うことで、包接やメカノクロミズムに伴う発光の変化の度合いおよび発光寿命をチューニングする。更には、発光性メカノクロミズムを利用した赤外発光イメージングが可能かも評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、これまでにない革新的な発光性メカノクロミック特性、および関連する刺激応答特性の発現を目指している。代表的な成果の一つは、10を超える小分子を包接し、その発光特性が種々変化する金錯体が挙げられる。この錯体の微結晶および単結晶に対して小分子を室温大気下で添加するだけで、小分子の包接が可能である。また特筆すべきは、その10を超える全ての単結晶構造解析に成功した点であり、発光特性の錯体の配列・配座の関係を明らかにすることができた。更にこの錯体はメカノクロミズム特性を示す。機械的刺激によって包接小分子がリリースされアモルファス化し、発光色が切り替わる。すなわち可逆性も明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、上記に示した各種小分子に対して高い包接能を示した錯体に関して分子構造の改変を行い、機能のチューニングを試みる。例えば、芳香環の拡張によって溶媒包接に伴う発光色の変化の度合いを拡張させる。また、ヨウ素や臭素原子を複数導入することで、発光寿命を長寿命化することをめざす。更には、赤外発光性を示すメカノクロミック金錯体を発見済みであるので、その錯体を用いイメージングを行う。機械的刺激によって、相転移を起こさせ赤外発光特性を発現させる。この試料の赤外光の検出を試み画像としてイメージングが可能かを評価する予定である。
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Research Products
(14 results)