2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Luminescent Mechanochromic Materials Exhibiting Novel Functionality
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16H06034
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関 朋宏 北海道大学, 工学研究院, 助教 (50638187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メカノクロミズム / 錯体 / 発光 / 相転移 / 刺激応答性 / X線 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究期間において、ビナフチル骨格を有する金錯体が、ビナフチル部位の軸不斉に関しラセミ体か否かによって、メカノクロミズム特性が異なることを見出した。ラセミ体のビナフチル金錯体の結晶は、黄緑色発光を示し発光極大波長は、546 nmであった。ここに機械的刺激を与える発光色が橙色に変化し、発光極大波長が664 nmに変化した(シフト幅:116 nm)。一方のS体のビナフチル金錯体の結晶は、緑色発光を示す。発光スペクトルを測定するとブロードなスペクトルを示し、発光極大波長は、517 nmであった。すなわち、ラセミ体と全く同じ構造を持つS体の金錯体は、互いに異なる発光色を示すことがわかった。さらに、S体のビナフチル金錯体の結晶に機械的刺激を印加すると発光色が橙色に変化した。発光極大波長は、664 nmであり、すなわち機械的刺激による発光波長のシフト幅は、147 nmであった。X線構造解析を行い、ラセミ体、S体いずれも機械的刺激を与えることでアモルファス化することが明らかとなり、そのためいずれも橙色発光を示したことがわかった。更に、単結晶構造解析によって、ラセミ体とS体で結晶状態でのパッキング構造が異なることも明らかにした。単一の分子に着目した場合に、その分子がラセミ体であるかS体であるかによって、メカノクロミズム特性が異なることを示したはじめての例であり、メカノクロミック材料を始めとした各種刺激応答性材料の設計指針を提示することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究提案に示した内容が達成できている。ほぼ構造が同じ化合物(ラセミであるか、エナンチオピュアであるかが異なる)を用いて、互いに異なる刺激応答性を示した例は少なく、刺激応答性材料のデザイン指針として波及効果を持っている。今後は、面不斉や点不斉を持つ誘導体を用いて、同様のコンセプトが達成できるか精査する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究提案に示した残りの研究課題に取り組む。メカノクロミック材料に関して、機械的刺激を与える際の温度を変化させ、応答の違いを精査する。また、置換基をわずかに変えた錯体を体系的に効率よく大量に合成し、その刺激応答特性を網羅的に評価する。それにより特異な相転移挙動や発光変化のパターンが見つからないか評価する。
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Research Products
(5 results)