2017 Fiscal Year Annual Research Report
界面光制御に基づくハイブリッド材料群を用いた革新的脳機能活性化法の創成
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16H06047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小阪田 泰子 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00579245)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ハイブリッド材料 / 光化学 / 界面 / 膜電位 / 細胞機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究「界面光制御に基づくハイブリッド材料群を用いた革新的脳機能活性化法の創成」は、ナノレベルの光機能性界面を構築し、神経膜表面の電子的・熱的エネルギー状態を光制御することで、脳の重要な機能の一つである「膜電位」の光活性化を可能にする、画期的光治療法の開発を提案する。本研究の推進により、従来の光遺伝学的手法や、小分子・有機材料・無機材料単体あるいは混合物による活性化では実現不可能であった、遺伝子治療を必要としない600 nmより長波長の光照射により、共同的に機能する界面を用いた「膜電位光変換法」を日本発の独自新技術として創出し、次世代光治療に向けた光機能性ハイブリッド材料における脳活性化という革新的基盤技術へ繋げる。当初研究計画では、A:ポルフィリンナノシート、B:カルコゲンナノシート、C:金キューブポリマーハイブリッド材料による膜電位光変換を目的とした。特に、前半1年半で、主に材料合成と膜電位活性化の評価法の確立を計画した。実際、Aのポルフィリンナノシートの合成に成功した。特筆すべきは、予想外に薄い数ナノメートルの二次元ポルフィリンナノシートの合成が出来たので、このナノシートを積層化させるのではなく、還元型グラフェンとのハイブリッド化を行い、分散系での利用を試みた。生体利用よりも、光触媒反応における増感剤として利用することを考えた (論文執筆中)。B、Cの光熱効果反応による活性化の検討に向け、種々の材料合成を行った。当初は、有機材料での活性化は効率が低いと考え、ガラス基板にこれらのナノ材料を塗布した界面と神経細胞での界面での光反応に基づく活性化を計画したが、意外にも溶液系に分散したナフタロシアニンナノ粒子でも金ナノロッドと同等の熱変換効率を示すことを明らかにし、今回の申請内容の予備結果を得た。また、膜電位活性化評価法の確立に関しては、初年度でほぼ確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Aに関しては、計画外の光触媒応用への展開がさらに大きく研究を進展させる可能性があることを見いだした。Bに関しては、概ね有機ナノ材料合成を達成し、近赤外光照射によるカルシウムシグナル操作法の開発をさらに展開する方が妥当であると考えた。Cに関しても、準備段階で国際共同研究に繋がる計画を立て、本申請計画でさらに飛躍的に研究を進展させる可能性を見いだしたため、概ね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
Aに関しては論文のリバイス中で今年度出版を予定している。Bに関しても論文にまとめる。引き続き研究を行うことで、従来の光遺伝学的手法では実現不可能であった、遺伝子治療を必要としない600 nmより長波長の光照射による、投与可能な小分子やナノ材料による「生体膜機能光変換法」を日本発の独自新技術として創出し、次世代光治療に向けた光機能性高機能分子・ナノ材料による脳機能活性化を可能にする基盤技術開発へ繋げる。
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