2016 Fiscal Year Annual Research Report
固溶体量子ドット配列によるエネルギー傾斜構造構築と薄膜太陽電池の高効率化
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16H06052
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
亀山 達矢 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (40646759)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 量子ドット / 配列制御 / 固溶体 / 太陽電池 / 光エネルギー変換 / エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽光の高効率な利用に向けて、量子ドット太陽電池の研究が活発に行われている。実用化へつなげるには、さらなる高効率化とPbやCdを用いない量子ドットの開発が課題となる。そこで、本研究ではZnSe-AgInSe2固溶体量子ドットの固溶体組成を変化させながら、エネルギーギャップの順に積み上げた量子ドット薄膜構造により、励起子を薄膜の電荷分離界面へエネルギー移動により集約する。エネルギーギャップの勾配に沿った、励起子の集約機構が太陽電池特性に与える影響について解明し、エネルギー変換効率の向上を目指す。このようなシステムで、従来の量子ドット太陽電池の問題点を解決することで、量子ドット太陽電池の高い理論変換効率に近づくことが期待される。 平成28年度はまず架橋分子を介した固溶体量子ドット積層構造の作製に取り組んだ。薄膜の吸収スペクトルの吸光度がが積層操作ごとに増加する様子から、間接的ではあるものの、目的とする積層構造が構築されていることが示唆された。さらに、積層構造に依存し、励起エネルギー移動によるドナー粒子の発光消光とアクセプター粒子からの発光増強を確認し、膜内部でエネルギー移動が効率的に起こっていることを確認した。このエネルギー移動は、量子ドットをエネルギーギャップの傾斜を持たせ積層した場合よりも、ランダムに混在させたとき、効率よく起こった。これらのことは、複数の粒子を複合化することで、膜の発光寿命が短くなることからも支持される結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に乗っ取り固溶体量子ドット積層構造の構築と、膜内部でのエネルギー移動との関係を明確化した。また、発光寿命測定からも、エネルギー移動効率などの算出を行い、膜構造の最適化を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は積層構造制御の成果を、実際に固体セルで実証するための検討を進める。前段階として、簡易に測定可能な電解質溶液を用いたセル作製を行い、その効果を検証する。その後、固体デバイス化に取り組む予定である。
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