2016 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ積層法による固体高分子形燃料電池の広温低加湿化
Project/Area Number |
16H06056
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤ヶ谷 剛彦 九州大学, 工学研究院, 准教授 (30444863)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高分子電解質 / ポリベンズイミダゾール / 燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高分子形燃料電池開発は現行の「80℃加湿下」発電から、加湿器が不要で高活性化が期待できる「高温・低加湿下」発電を目指している。現在、リン酸含浸高分子系で「120℃・無加湿」が実現しており、申請者も高耐久化の点で世界をリードしている。しかしリン酸含浸系は低加湿100℃以下での伝導度が小さく、新たな課題として「広温化(30-120℃)」を突きつけられている。そこで、本研究では「広温」低加湿プロトン伝導を示す新規電解質を開発し、申請者独自の触媒作製技術と融合することで、次世代のその先に来るべき「広温・低湿度下発電」を実現することを目的としている。初年度においては広温・低湿度下で高いプロトン伝導を示すために、酸基を高密度に繰り返すか、相分離構造等を駆使して酸基が高密度に連続相で局在化させる必要がある。しかし、含水状態で高温まで相分離構造を安定化させるのは難しい。そこで、に挙げたような酸基を高分子中に高密度に導入する化学構造を設計・合成する。酸基を近距離で繰り返せるビニル系ポリマー構造としてポリビニルスルホン酸(pKa=-1.9)、ポリビニルアミドスルホン酸(pka=-0.48)、ポリスチレンスルホン酸(pKa=1.7)等のスルホン酸系や汎用のNafion (pKa=-6.0)と合わせてポリビニルホスホン酸(pKa=2.3~2.6)、ポリスチレンホスホン酸(pKa=1.7)等のホスホン酸系、アクリル酸(pKa=4.3)のカルボン酸系をスクリーニングした。各官能基をポリベンズイミダゾール側鎖として導入し、プロトン伝導度を評価する事で最適構造の探索を行った。その結果、広い温度湿度範囲において、スルホンアミド基を側鎖として有する電解質が高いプロトン伝導度を示すことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高温低加湿においてNafionに匹敵するプロトン伝導度を有する高分子膜の開発に成功しているため。グラフト法をもちいているために、従来のリン酸ドープ系と比較して、プロトン伝導度では劣るものの、酸の漏出が無いことから、安定動作が期待できる。さらに、伝導度測定として面内・膜厚方向両方において正確に測定できる手法が確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなるプロトン伝導度の向上のために、相分離構造の導入を検討している。従来の相分離構造と異なり、親水部の酸密度を高めているために、低加湿でも高いプロトン伝導度を達成できる見込みがある。そのために、ポリベンズイミダゾールのブロック共重合に挑戦するが、縮合系高分子においてブロック共重合の例は珍しく、重合系そのものも非常にユニークな研究となる。
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