2017 Fiscal Year Annual Research Report
生産・加工現場での高分解能観察を可能にする低コヒーレンス干渉型変調照明顕微鏡
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16H06063
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
臼杵 深 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (60508191)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光学顕微鏡 / 構造化照明 / モアレ / スパース性 / デコンボリューション / 超解像 / 空間サンプリング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究実績を以下に示す.
1.これまでの高分解能化はドットパターンの試験試料での検証に留まっていたが,本年度はラインアンドスペースパターンでの検証を行った.予備実験により,ラインアンドスペースは回折格子として働くため,モアレ信号取得のためには少なくとも2種類の1次回折光による結像必要があることがわかった.開発した顕微鏡は,対物レンズの外からの暗視野照明のため,効率良い回折光の取得を考えて,二光束を対向入射させる方式に変更した.結果として,回折限界およそ600nmの結像光学系を用いて400nmのラインアンドスペースを解像することができた. 2.観察試料を回転させることにより,構造化照明の相対的なピッチを変化させることが可能であり,これにより,特に低開口数の対物レンズを使用した際に発生する空間周波数情報の不足の問題解決に有効であることを着想した.また観察試料の回転は全方向の空間分解能の向上に寄与することから,開発装置に観察試料の回転機構を導入した.これに関して,シミュレーションによる機能の確認を行った. 3.本研究における観察(計測)対象のスパース性,構造化照明のスパース性,両方を考慮した新たな画像・信号処理の提案を行った.製造業(工業)分野における観察(計測)対象は,マスクや配線のように疎(密ではない)なパターンを有する.また,構造化照明も2次元的な縞であり,疎(密ではない)なパターンである.このことからスパース性を過程したデコンボリューション処理が適用可能であると考え,シミュレーションによる検討を行った.結果として,90%程度のスパース性を確保できる試料条件においては,実現可能な空間サンプリングのピッチにおいて,100nmの空間分解能が可能であることを示すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は実用化にむけた検討を産学連携のもとで進めることができた. 企業との共同開発には至っていないが,実用化への要求の1つである本イメージング手法の汎用性について実験により検証することができた. 他の実用化への要求である100nmの空間分解能については未解決ではあるが,スパース性を利用することで見通しを立てることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
観察試料回転により,低開口数の対物レンズ使用時における効率的な空間周波数情報の取得について実験的に見当する. 空間光変調器の導入により構造化照明の空間分布と位相の同時制御について実験的に検討する. 極小画素ピッチのイメージセンサ導入によるスパースデコンボリューションの実験的検討と100nm空間分解能の実現可能性の検討を行う.
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