2016 Fiscal Year Annual Research Report
Reductive sintering of metal oxide nanoparticles using nonlinear optical absorption
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16H06064
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
溝尻 瑞枝 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70586594)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 微細加工 / ナノ粒子 / イオン溶液 / フェムト秒レーザ / 還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,フェムト秒レーザ還元直接描画法に非線形光吸収を適用することで,金属・半導体3次元微細構造の直接描画形成するプロセスを創出することにある.平成28年度は,非線形光吸収を誘起するためのナノ粒子溶液及びイオン溶液を調製し,その吸収特性を評価した.更に,その特性を元に,非線形光吸収を誘起するためにより適当なレーザ波長の決定を行った. 初めに,ナノ粒子合成,ナノ粒子分散溶液の調製,イオン溶液の調製を行い,その吸収スペクトルを評価して,非線形光吸収が可能と予測できる溶液の探索を行った.ナノ粒子分散溶液においては,Cu2Oナノ粒子をポリオール法により調製し,エタノールに分散したものを用いた.この吸収スペクトルは,波長800 nmで吸収が小さく,その半波長以下で大きな吸収を有することがわかった.一方,イオン溶液については,ポリビニルピロリドンにNiイオンを分散させたものを用いた.この吸収スペクトルは,波長500 nmで比較的吸収が小さく,波長800 nm,300 nm以下で大きな吸収を有した.このことから,Cu2Oナノ粒子溶液においては,波長800 nmのフェムト秒レーザにより非線形光吸収が期待できるが,Niイオン溶液においては,波長500 nmのレーザが有用であると考えられる. 調製したCu2Oナノ粒子分散溶液に,波長780 nmのフェムト秒レーザを集光照射し,形成されたパターンの特性について調査した.パターンの結晶構造を評価すると,Cuに起因する回折パターンが観察された.このことから,レーザ照射によりCu2Oナノ粒子は還元され,Cuパターンが形成されたと考えられる.更に,その線幅は,レーザ集光スポット径以下となり,非線形的な現象によりパターン形成が行われたことを示唆した.来年度は,イオン溶液に対しても有用な波長のフェムト秒レーザを用いて還元描画特性を評価すると共に,非線形光学特性についても評価する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,ナノ粒子合成・溶液調製,イオン溶液調製を行い,吸収特性を評価すると共に,フェムト秒レーザ集光照射により,その還元特性を評価した.ナノ粒子溶液には,Cu2Oナノ粒子をエタノール分散して調製した.Cu2Oナノ粒子は,ポリオール法を用い,Cu(NO3)2,ポリビニルピロリドン,エタノールを原料とし,直径約100 nmの球形単分散Cu2Oナノ粒子を作製した.ナノ粒子合成後,溶液中からナノ粒子を遠心分離機により分離し,エタノール洗浄を行った後,最後にエタノールに分散させた.Cu2Oナノ粒子溶液の吸収スペクトルは波長800 nm近傍で吸収が小さく,波長400 nmで大きな吸収を有することがわかった.このことから,波長800 nmのフェムト秒レーザにおいて,非線形光吸収の誘起が期待できる.一方,Niイオン溶液においては,波長500 nmにおいて吸収が小さく,波長800 nm,波長300 nm以下で吸収が大きなスペクトルを示した.この結果は,波長500 nm近傍のフェムト秒レーザにおいて,非線形光吸収により,内部に金属還元を誘起できる可能性を示唆している. 更に,調製したCu2Oナノ粒子溶液を用いて,非線形光学効果が期待できる波長780 nmのフェムト秒レーザを集光照射し,その描画特性を評価した.その結果,線幅は集光スポット径よりも小さく,非線形的な現象によりパターンが描画形成されていることがわかった.更に,形成されたパターンは主にCuであることが分かった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ナノ粒子分散溶液において,非線形光学特性の評価を行う.具体的には,Z-scan法によりその吸収特性を評価する.更に,イオン溶液の還元描画においては,非線形光吸収が期待できる波長500 nm近傍のフェムト秒レーザを用いて,線幅等描画特性を評価する.特に,線幅がレーザ集光スポット径以下の場合には,非線形光吸収に起因した現象である可能性があるため,非線形光学特性についても評価する. ナノ粒子分散溶液及びイオン溶液の調製については,ナノ粒子やイオンの濃度も還元においては重要な要素である.特にイオン溶液においては,低濃度である場合,還元析出した金属が連続的な構造を形成しない可能性がある.その場合には,低濃度の同種の金属ナノ粒子とイオン溶液の混合溶液を調製することによって,非線形光吸収が誘起されて還元析出した金属が連続構造を有するような溶液の条件を探索する. 上記,基礎的なデータを下に,3次元微細構造の直接描画を試みる.具体的には,中空構造を形成し,センサやマイクロデバイス作製への応用を検討する.更に,溶液の混合により,合金制生成についても検討する.
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Research Products
(4 results)