2017 Fiscal Year Annual Research Report
反応帯分離リアクタによるすす前駆体生成過程の選択的計測とモデル構築
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16H06068
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 寿 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (40444020)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 燃焼 / すす / 改質 / 酸化 / 分析化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
燃料過濃条件の燃焼では、酸化反応・改質反応・前駆体成長反応・すす生成反応など複数の複雑な反応が火炎帯のごく薄い領域(一般には1 mm以下)で進行するため、各反応の素過程を調べることは難しい。本研究では、独自の反応帯分離リアクタを用いて、主にすす生成前の前駆体生成までを対象として、各反応帯を分離定在させ、この分離反応帯に対する極微量オンラインガスサンプリング法を構築し、様々な分析法に適用することで、各反応帯で生成される化学種の定性・定量を行う。得られた計測結果を各種反応モデルの予測結果と比較検証することで、モデル予測の改善を行う。また、各種燃料および各種すす制御添加剤を対象とすることで、添加剤の前駆体抑制メカニズムの解明、最適添加剤の選定コンセプト創出を行う。 当該年度は、前年度に用いたGCおよびGC/MSに加えて、新たに光イオン化法による質量分析を反応帯分離リアクタに適用し、基本性能の確認を行った。また、前年度に対象としたメタンに加えて、ノルマルヘプタンおよびノルマルブタノールを対象燃料として拡大した。計測結果と詳細反応機構を用いた数値計算結果を比較し、特にノルマルヘプタンとノルマルブタノールの混合燃料において、アルカン燃料のスス前駆体の生成過程とアルコール燃料の酸化過程が相互干渉する反応経路を特定した。さらに、メタンについて、超過濃条件においては、既存モデルはスス前駆体の生成量を過大評価し、逆に改質反応による生成物の濃度を過小評価することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一部実験条件において、既存モデルと比較して優位に小さい濃度の多環芳香族が計測された。これが計測上の問題点ではなく、実験事実として確認するための検証に時間を要したため、やや遅れている。しかしながら、既存モデルとの差異を確認できた点について、有意な結果といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、反応経路解析、感度解析、量子化学計算等の実施により、モデル予測結果と計測結果の差異を生ずる素反応を特定し、酸化反応、改質反応、スス前駆体成長反応と段階を追ってモデル改良を進めてゆく。
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Research Products
(2 results)