2018 Fiscal Year Annual Research Report
国際単位系改訂に向けた電気素量の絶対測定と高速超精密電流測定への展開
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16H06090
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 秀司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (70613991)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 少数電子素子 / 電子デバイス・機器 / 量子ドット / 超伝導 / 量子電流標準 / パラメトリック増幅 / 量子ドット電荷計 / メトロロジートライアングル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、量子電流標準の実現とその応用技術としての高速超精密電流計測技術の確立である。量子電流標準は単電子制御によって単位時間当たりの電子数を精確に制御し、ボトムアップ的に電流の基準(電流標準)を実現する試みである。この量子電流標準は、微粒子や放射線の測定において利用されるフェムトアンペアからピコアンペアの電流範囲において既存の電流標準に対して優位性を持つ。本研究課題では具体的に「単電子転送による量子化電流発生の高精度化」「単電子素子を用いた単電子計数技術の高性能化」「FPGA・任意波形生成等を用いた単電子制御技術の確立」を行っている。本年度は、高周波反射測定による単電子計数を高速化するためのパラメトリック増幅器の開発を行った。具体的には超伝導共振器と二準位系を結合させることにより、超伝導共振器に非線形性を誘起し、マイクロ波の増幅に成功した。さらに本年度は、単電子転送による量子化電流発生の高精度化を目指してシリコンの単電子素子を用いた定電流発生にも歩みを進めた。現在、シリコン単電子素子を希釈冷凍機中で駆動するためのサンプルホルダー等の作製をおこなっており、作製終了次第単電子転送の実験に取り組む。さらにこのシリコン単電子素子による電流、量子ホールアレイによる抵抗、ジョセフソン効果による電圧をオームの法則を介して組み合わせることで、量子メトロロイトライアングルの実現に向けて研究を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、「単電子転送による量子化電流発生の高精度化」に関してはシリコン単電子素子による定電流発生、「単電子素子を用いた単電子計数技術の高性能化」に関してはパラメトリック増幅器の研究を行っており上記の通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上記研究と共に「FPGA・任意波形生成等を用いた単電子制御技術の確立」の研究をさらに推し進めていく。具体的には、シリコン単電子素子を駆動する最適な電圧パルスを任意波形発生器によって発生し、シリコン単電子素子を用いた単電子転送を高精度化するとともに、二重量子ドットを用いた単一電子転送とその実時間測定を行い、エラーを実時間で読み出すことをめざす。さらにこの実時間測定によるエラー検出とFPGA・任意波形発生技術などのマイクロ波技術を組み合わせることでエラーのフィードバック補正に取り組む。
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Research Products
(8 results)