2019 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞内タンパク質のイメージング質量分析を実現する撮像型分子検出器
Project/Area Number |
16H06092
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
全 伸幸 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20455439)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超伝導検出器 / 超伝導ストリップ / SSPD / 単一磁束量子回路 / SFQ / 質量分析 / 分子検出 / 光子検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分子が入射した位置を決定できる超高感度な撮像型の粒子検出器(SSPD: Superconducting Strip Particle Detector)を開発することを目的として開始した。単一分子が超伝導ストリップ線に衝突した際に、その両端から出力される正・負極一対の電流パルスが、両端に接続された時間デジタル変換器(TDC: Time-to-Digital Converter)に到達する時間差を計測することで、分子が衝突した位置を決定できる。 前年度、正・負極一対の電流パルスが出力されるという基本原理を世界で初めて実証したが、位置分解能を評価できるほど大きなS/N比を得られていないことが分かった。 今年度はS/N比を向上させるべく、SSPDの特性を徹底的に調査した。まず、以前から問題視されていた、SSPD内部でのバイアス電流再分配の問題を解決した。最適に設計された実装基板を用いることでバイアス電流の再分配を抑制することができ、ようやくリゾチーム分子に対する検出効率100%を達成した。 また、将来的に画素数を増やすためには、上記TDCの代わりに、低温環境での時間デジタル変換を可能にする単一磁束量子回路(SFQ: Single Flux Quantum)とSSPDを接続する必要があるが、ここでも上記のバイアス電流再分配の問題があった。本研究で超伝導ストリップ線の物性を精査した結果、SFQとSSPDの間に抵抗器を挿入しなくともバイアス電流の再分配を抑制できることが分かり、将来の多素子化に向けて弾みを付けた。 本研究で得られたこれらの知見は、SSPDとSFQを組み合わせた単一光子検出器に係る特許群が登録される際に活用された。また、本研究で超伝導ストリップ線の物性を追究することで、フォノン工学と超伝導を組み合わせた新たな研究展開を見出し、論文を1報発表することができた。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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