2017 Fiscal Year Annual Research Report
複屈折消去材料の開発によるコア径に制限の無い偏波保持光ファイバーの実現
Project/Area Number |
16H06117
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
古川 怜 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50589695)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 複屈折 / ポリマー光ファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本案では、複屈折を消去できる高分子系複合材料を使い、既存と異なる原理で偏波保持ができる新規の偏波保持光ファイバーを開発することを目的とする。当該年度は2年目にあたり、問題とされた白濁の低減と機構の分析を中心に行った。結果、以前に増して長距離の偏波保持ポリマー光ファイバーが得られるようになった。 また、次年度へ向けたいくつかの組成で複屈折消去組成をコアに有するポリマー光ファイバーの作製の準備を行った。本案では、複屈折を消去したいコア部は屈折率が固定されるため、光ファイバーの開口数を始めとした導波路設計の自由度が低くなってしまうことが、当初の懸念としてあった。この課題に対応するため、本年度はこれまでのフッ素系樹脂を含む三元共重合体[1]に加え、別の原料についての報告[2]を参考に材料の調達や小スケールでの試作や物性の評価を行った。 さらに、本案の応用展望として、土木シーンで利用できる分布型ひずみセンサーとしての実現性について、材料および機能の側面より検討を行った。コンクリートへ埋め込み、各種の刺激に対する出力変化を調べた。同様に、試作した光ファイバー10メートル超をフィールドに敷設した状態での調査を行った。結果として、フィールドでの利用においては、フッ素系樹脂を含むものは物性的に脆く、光ファイバー作製時の熱延伸プロセスにおいての配向コントロールなどの工夫が必要であることが示唆された。
[1]Tagaya and Koike, Polymer Journal (2012) [2]Shikanai, Tagaya, and Koike, Applied Physics Letters (2016)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題であった、白濁の低減が達成された。また、昨年度までに注力した光ファイバーの試作とその屈折率評価法が、多少の改善はしているが、その後繰り返し機能していることが示された。従って、概ね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き複数の組成でのポリマー製偏波保持光ファイバーの試作と偏波保持特性を中心とした評価を行う。また、色素などの機能性分子をファイバーに分散させ、偏波との相互作用や散乱特性を中心に調査し、分布型ひずみセンサーなど、本技術の応用展望の探索を併せて行う。
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