2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H06118
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
木梨 憲司 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 助教 (30513543)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線量計 / フォトクロミック色素 / 機能性複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、研究計画に従って「繊維材料の最適化、紡糸方法の最適化」を実施した。放射線感応・高分子繊維複合材料が低放射線量を検知可能にするためには材料の最適化が不可欠である。そこで、最適な繊維作製方法と色素の最適化を行い、現在の到達している感度(7400mGy)の10~50倍の高感度化を目的とする。この感度は原発作業員の安全基準(100mGy~400mGy)である。 ①蛍光体の選択:フォトクロミック色素は360nm付近に高い紫外線吸収領域を有しており、この吸収領域に適した蛍光体を選択する必要がある。入手可能な紫外線発光体は、BaFCl:Eu2+,BaSi2O5:Pb,SrB4O7:Eu,YAlO3:Ceおよび無水CeBr3であり、それらの発光特性の評価を行った。結果として、BaFCl:Euが382nm、BaSi2O5:Pbが346nm,SrB4O7:Euが368nm,YAlO3:Ceが375nm、無水CeBr3が360nmであった。結論として、発光強度や潮解性を考慮するとBaFCl:Eu2+が最適であると判断した。 ②繊維材料の選択:計画では、ポリエステル系繊維の溶融紡糸法を予定していたが、この方法ではフォトクロミック色素を染色法でしか定着させることができず、キャリア染色法を用いても有機溶媒染色の2.7倍程度であったため、新たな紡糸法として遠心紡糸法を採用した。自作した紡糸装置を用いてポリスチレンの遠心紡糸繊維を作製し評価を行った。 ③放射線可視化試験:フォトクロミック色素/蛍光体からなる放射線感応繊維に対して、エックス線回折装置を用いてエックス線可視化試験を行った。結果として繊維材料で5600mGy,フィルム材料で100mGyの放射線感度特性を達成した。
総括として、本研究課題の目的として挙げている100mGy~400mGyの放射線感度は、フィルム材料で達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
材料選択が当初の計画以上に迅速に行われ、高分子複合フィルムの作製および評価が早い段階で実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、それぞれの材料特性の定量評価を行い、繊維材料でより高感度化を達成し、防護服や防護手袋など医療面も含めてあらゆる場面で使用できる材料開発を目指す。
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[Presentation] 有機色素で線量を測定2016
Author(s)
木梨憲司
Organizer
第 28 回放射線夏の学校
Place of Presentation
千葉県南房総リゾートイン白浜
Year and Date
2016-08-02 – 2016-08-04
Invited
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