2016 Fiscal Year Annual Research Report
異方性金属ナノ粒子の配向配列制御による高効率光エネルギー変換場の構築
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16H06120
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 幸奈 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 准教授 (10596076)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 局在表面プラズモン共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、金属ナノ粒子の組織化状態をボトムアップ手法で大面積にわたって制御することで、金属ナノ粒子間に生じるホットスポットという、光のエネルギーを光の回折限界を超えたナノ空間に局在化させることができる、高効率な光エネルギー変換場を、実用的なレベルの面積で実現することを目的としている。そのために、まずは粒径の大きな疎水性球状金ナノ粒子の大量合成法を開発した。 従来、せいぜい20ナノメートル程度の直径でしか疎水性球状金ナノ粒子の大量合成法は実現されていなかったが、本課題の取り組みによって、100ナノメートルの直径においても適用できる、疎水性球状金ナノ粒子の大量合成法を確立することに成功した。 これによって、上記の理由で従来は20ナノメートルの直径までしか報告がなかった、金ナノ粒子の二次元アレイ膜を、Langmuir-Blodgett法を採用することで、80ナノメートルの直径においても作製する技術を確立することに成功した。 孤立分散状態の金ナノ粒子は、粒径を10倍近く変化させても、局在表面プラズモン共鳴波長はせいぜい数十ナノメートル程度しか変化しないのに対し、作製した二次元アレイ膜では、構成する疎水性金ナノ粒子の直径に応じて、局在表面プラズモン共鳴波長を数百ナノメートル程度の範囲で大きく変調できることを明らかにした。 上記の成果は、金属ナノ粒子の二次元アレイと組み合わせる色素の選択肢が広がることを意味していると考えられ、本課題で目指す、高効率に光エネルギーを利用できる光エネルギー変換デバイスの実現に大きく前進できたと判断している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来不可能だった100ナノメートルまでの大粒径において、疎水性金ナノ粒子の大量合成法を確立することに成功した。これによって、実際にさまざまな粒径の疎水性金ナノ粒子から構成される二次元アレイ膜を、Langmuir-Brogett法によって製膜する手法を確立することに成功した。作製した二次元アレイ膜は、構成される金ナノ粒子の粒径によって、異なる局在表面プラズモン共鳴特性を示すことも明らかにし、今後の実際に色素と組み合わせた系の構築に向けて順調に前進していると評価できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに実現した、さまざまな粒径の疎水性球状金ナノ粒子からなる二次元アレイ膜を用いて、実際に色素と複合することで、粒子間に生じるホットスポットにおいて、想定している高効率な光エネルギー変換反応場が構築できているかを確認する。また、これまでに得られた知見をもとに、二次元アレイを構築する金属ナノ粒子として、球状金ナノ粒子より強い光補修効果が期待できる、形状異方性金ナノ粒子や銀ナノ粒子を採用することで、さらなる高効率光エネルギー変換反応場の実現を目指す。
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