2017 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリット超伝導電機子の船舶用電気推進システム応用に関する研究
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16H06136
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
都築 啓太 豊田工業高等専門学校, 情報工学科, 講師 (40713045)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超電導材料 / 回転機 / 電機子 / コイル / バルク / 超電導応用機器 / 着磁 / 電磁解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
極低温まで冷却することで電気抵抗ゼロを実現できる高温超伝導材料は、従来の金属あるいは磁性材料と比べて10倍以上大きな電磁エネルギーを扱うことができる究極の先端材料である。本課題の大枠はこの材料及び周辺の要素技術を回転機に適合することで、大幅な小型化、高出力化、高効率化を目指すものである。 今年度においては平成28年度までの成果と、これまでの超伝導電機子の実用化に向けた基礎研究を収斂し、全超伝導モータの開発のための電機子および着磁技術についての電磁解析・試作による実証研究を推進した。平成29年度は初年度に継続して電磁解析により、要素技術である「着磁」と「電機子」の機能を両有する「ハイブリッド超伝導電機子」の試作実証を推進し、回転機実機の設計・検討・プロトタイプによる実用性の検証を行った。 要素技術検証についてはプロトタイプコイル3対をそれぞれ用いた、冷却・通電試験を実施した。77K(-196度)および、今年度調達したクライオスタット(真空容器)と必要部材を用いた30K(-243度)における評価を完了し、目標値の達成を確認した。 電磁解析については、調達したソフトウェアを用いて1T以上の着磁を目指し、さらなる構造改良に取り組んだ。その結果、コイル構造や磁性材料の形状の工夫などで、大幅な着磁特性の向上が見込まれる新たな知見を獲得でき、次年度における研究課題として取り組む計画である。 これらの成果について学会発表を完了しており、これらの成果実績をもってシステム全体の効率化、小型・高効率超伝導回転機の実現が期待できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の成果として、導入した電源装置を用いて三相交流印加時の超伝導電機子特性評価システムの構築を完了した。さらにプロトタイプの直流および交流印加時の特性評価試験を実施し、その成果について国際学会にて報告した。 直流電源を用いた超電導特性評価実験として調達した種々の電気部品を用いて、計測システムの構築を完了した。直流電源と極低温磁場センサを用いて着磁コイルの特性評価行う準備を完了した。電機子のクエンチ保護対策システムについては、NI社製の計測機器や250A級の安定化電源を調達し既存システムを改良した。 交流評価として昨年度成果をベースに三相交流に対応する低圧大電流対応の交流電源を用いた試験の実施に向けて、各相における通電時の電圧特性を記録・評価できるシステムを構築した。電機子コイルとして配置したより連続データを取得・分析可能なシステムの構築を完了した。現有する小型試作コイルを用いてクエンチ試験を行い、使用限界と傾向から対策を立てた。 要素技術検証として、評価試験用のクライオスタットおよび必要な部材を調達し、液体窒素浸漬冷却である77Kおよび極低温冷凍機を用いた伝導冷却である30Kにて実証実験を実施した。 電磁解析については調達したソフトウェアを用いて1T以上の着磁を目指し、さらなる構造改良に取り組んだ。その結果、コイルを多段化する、磁性材料の形状の工夫などで、大幅な着磁特性の向上が見込まれる新たな知見を獲得できた。
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Strategy for Future Research Activity |
冷凍機冷却によって実現される30Kの温度条件下における実証実験について検証を深化させ、温度、外部磁場、電流値を考慮して実環境の回転機に近い条件での動作確認を実施する。 プロトタイプコイルによる要素技術の評価試験については、昨年度に調達済である超伝導コイルを多段化する改良版を作成する必要があることが明らかになってきており、研究室内にて改造を施した二次プロトタイプ試作モデルの評価を実施する予定である。 製作した試作モデル、電機子表面および想定界磁子表面に、極低温対応の磁場センサを取り付けて、直流で着磁コイルとして1テスラ到達できる能力があるかどうかを検証する。三相交流においても、各相20A以上の通電を確認することを確認し、電磁解析結果と照らし合わせて、成立性検証を行う。 次年度は最終年度として3年間の研究の総まとめとし、メガワット級全超伝導回転機の実現に向けた概念設計を実施する。 本研究課題による高温超伝導バルク材と高温超伝導線材に関わる研究成果と、従来の研究成果を元に高温超伝導同期回転機に必要な界磁子及び電機子に要求される性能を比較検討し、本研究課題の次段階に位置付けられる研究開発の目標とすべき全超伝導回転機の仕様を策定し報告する計画である。
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Research Products
(4 results)