2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H06161
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北島 智也 国立研究開発法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, チームリーダー (00376641)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 卵母細胞 / 減数分裂 / 染色体分配 / 紡錘体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、卵母細胞の減数第一分裂において特有の動原体の役割を明らかにすることを目的とする。多くの生物の卵母細胞は中心体を持たないため、これらの細胞ではほとんどの動物細胞とは異なり、特殊な機構で紡錘体が形成されると考えられている。しかしながら、中心体のない細胞でどのように紡錘体が形成されるのかは、いまだ明らかではない点が多い。 そこで本研究では、マウス卵母細胞において動原体の機能を破壊し、紡錘体の形成にどのような影響があるかを調べた。高解像度ライブイメージングにより紡錘体の形成過程を記録し、定量的な解析を行うことで、動原体破壊による影響を見出した。動原体がどのように紡錘体形成に関わるかを調べたところ、動原体因子の予想外のドメインが紡錘体形成に貢献することを見出した。このドメインと相互作用する因子を探索したところ、微小管制御因子が同定され、この因子は卵母細胞において動原体に局在することが分かった。 次に、減数第一分裂と第二分裂における紡錘体形成機序の相違点を明らかにするため、第一分裂の卵母細胞と第二分裂の卵母細胞を融合させ、その後の紡錘体形成をライブイメージングによりモニターした。動原体の機能破壊も合わせた実験から、減数第一分裂と第二分裂の紡錘体形成は異なる必要性を持つことを明らかにした。 さらに、減数第一分裂と第二分裂で紡錘体形成の必要性が異なることについてより詳細な理解を得るため、動原体とその相互作用因子の機能を考慮に入れたシミュレーション系を構築中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初に計画した実験である、マウス卵母細胞における減数第一分裂と第二分裂の紡錘体形成過程の定量的比較、動原体の機能破壊が紡錘体形成におよぼす影響、動原体による紡錘体形成の貢献を仲介する候補因子の同定、第一分裂と第二分裂の卵母細胞の融合実験を終え、それらから得られた知見に基づくシミュレーションに着手している。これまでに得た知見はいくつかの予想外のことを含んでおり、新規の紡錘体形成機構の理解につながる可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
動原体で紡錘体形成を促進させる因子について卵母細胞特異的な遺伝子ノックアウトを行い、その表現型をライブイメージングにより定量的に記述する。また、その他の微小管制御因子が動原体に局在して機能する可能性を検討する。並行して、シミュレーション系の構築を行い、これにより減数第一分裂と第二分裂で紡錘体の形成機序が異なる合理性について検討する。これらの研究から、卵母細胞において動原体が特異的に果たす役割の一つを明確にする。
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