2016 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜皮層のアクトミオシンネットワークが駆動する多様な細胞プロセスの統合的理解
Project/Area Number |
16H06165
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮崎 牧人 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (40609236)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生物物理 / 細胞運動 / 細胞分裂 / アクトミオシン / 再構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物細胞は細胞膜直下にコルテックスや収縮環と呼ばれるアクトミオシンの網目構造をつくる。コルテックスは細胞接着時の牽引力発生やブレブと呼ばれる膜突起の突出による細胞運動、収縮環は細胞質分裂を駆動すると考えられている。本研究では、細胞膜皮層のアクトミオシンネットワークが多様な細胞機能を制御する仕組みを、人工細胞システムを用いて包括的に理解することを目的としている。初年度に当たる平成28年度では、すべての実験の基盤となる人工細胞系の開発を行った。具体的には1)精製アクトミオシンを調製し、それらを細胞サイズの油中液滴及びリポソームに封入する技術、2)ミオシンのモーター活性を制御する手法、3)アクトミオシンネットワークの収縮によって油中液滴及びリポソームを変形させる手法、を確立することができた。本研究で得られた成果の一部は、招待講演8件(海外3件を含む)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すべての実験の基盤となるアクトミオシンを封入した人工細胞系の開発を行い、ミオシン活性を制御することによってアクトミオシンネットワークの収縮を誘導し、収縮に伴って人工細胞を変形させることに成功した。これらの基盤技術の確立は計画通りに進めることができた。初年度は、開発した人工細胞系を用いてアクトミオシンネットワークの収縮力と人工細胞の変形との関係を定量化することを当初の最終目標としていたが、偶然にも収縮に伴い人工細胞が運動する現象を発見した。運動機能を有した人工細胞の再構成は本研究課題の最終目標であり最重要課題であるため、最終年度に予定していた運動機能の再構成実験の計画を初年度に前倒しして研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
アクトミオシンの収縮力によって人工細胞が運動する条件を、偶然にも初年度の研究で発見した。運動機能を有した人工細胞の再構成は本研究課題の最終目標であるが、最重要課題であるため、まずは最終年度に予定していた運動機能を有した人工細胞の再構成研究を推進する。運動機能の再構成実験と並行して、当初は初年度に予定していたアクトミオシンネットワークの収縮力と膜変形の関係の定量化を行い、運動機能が発現する物理的な仕組みを明らかにすることを目指す。また必要に応じて各種タンパク質の生化学実験を行い、現象の理解に必要な生化学的パラメータを求める。
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