2017 Fiscal Year Annual Research Report
超微小空間における中心小体構造の自己組織化原理の解明
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16H06168
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北川 大樹 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (80605725)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中心体 / 中心小体 / 細胞分裂 / 細胞生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
中心小体はタンパク質の複合体から形成される非膜系の細胞小器官であり、動物細胞における中心体や繊毛・鞭毛の形成に必要とされます。中心小体を核として形成された中心体は、微小管形成中心として細胞分裂や細胞内極性の形成に重要な働きをしています。中心小体の複製はDNAと同様に一細胞周期に一度だけ起こり、母中心小体の隣に一つだけ娘中心小体が形成されます。中心小体の消失や過剰な複製は、小頭症や癌の悪性化などヒト疾患の原因の一つとされており、適切な細胞の機能を保証するために中心小体の複製は厳格に制御されなければなりません。しかしながら、中心小体のコピー数を制御する基本原理は未解明のままでした。 本研究では、今年度Polo like kinase 4(Plk4)の自己組織化特性が中心小体のコピー数を制御することを解明しました。Plk4は中心小体の複製に必須のキナーゼであることが知られていましたが、Plk4がどのように中心小体のコピー数を制御しているのかは明らかになっていませんでした。本研究によりPlk4は自身の天然変性領域を介して自己凝集し、液-液相分離を起こす特性をもつことが明らかになりました。さらにPlk4は自己リン酸化によって自己凝集体の物性を制御することがわかりました。このPlk4の特異的な物性により、新たに形成される中心小体の形成起点が一箇所に限定されることを明らかにしました。さらに、Plk4の過剰な自己凝集は中心小体の過剰な複製を誘導し、細胞分裂の異常を引き起こしました。本研究成果は癌の悪性化などの疾患の原因解明に役立つと期待されます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載した内容を踏まえて、中心小体の形成機構や複製開始時においてコピー数が一つに制限される分子メカニズムに関して非常に理解が進んだ。この過程を今後分子レベルで理論化する上で、本年度の研究成果は基盤になるものであり、当初想定していた以上の進展が見られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果をベースに超解像顕微鏡観察やシミュレーション等併用し、中心小体複製の理論化を推進する。また、構造学的な解析、cryo-EM等を導入し中心小体形成過程の前駆体の構造を明らかにしていく。これらを共同研究者、連携研究者と協力しながら精力的に遂行する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] A novel genetic syndrome with STARD9 mutation and abnormal spindle morphology.2017
Author(s)
Okamoto N, Tsuchiya Y, Miya F, Tsunoda T, Yamashita K, Boroevich KA, Kato M, Saitoh S, Yamasaki M, Kanemura Y, Kosaki K, Kitagawa D.
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Journal Title
Am J Med Genet A.
Volume: 173
Pages: 2690-2696
DOI
Peer Reviewed
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