2016 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on biosynthesis of fairy chemicals on a novel purine metabolic pathway
Project/Area Number |
16H06192
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
崔 宰熏 静岡大学, 農学部, 助教 (40731633)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | フェアリー化合物 / フェアリーリング / 生合成 / 代謝産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
フェアリーリング(妖精の輪)は、芝が輪状に周囲より色濃く繁茂し、枯れた後にキノコが発生する現象である。研究代表者らは、フェアリーリングを引き起こすコムラサキシメジから植物生長調節物質AHXおよびICAを発見し、AHXとその植物内代謝産物であるAOHが温度や塩などの非生物的ストレスに対する耐性を植物に付与すること、植物に内生して新規プリン代謝経路で生合成されること、および既知植物ホルモンとは全く異なる挙動を示すことを明らかにした。以上の知見から、AHX、ICA、AOH(フェアリー化合物)は新しい植物ホルモンである可能性が高いと考え、これを証明するために、本研究では、これらの化合物の生合成、代謝、受容機構の全容を明らかにする。フェアり―化合物を処理したイネから代謝産物を抽出し、HPLC等で分析したところ、多数の代謝産物が産生されることが明らかになった。それらの化合物を単離成功し、構造決定を行った。それらの代謝にかかわる酵素を各種クロマトグラフィーに共し、分画している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)FCs生合成前駆体・代謝産物の探索 AHXまたはAOHを処理したイネから代謝産物を抽出し、HPLC等で分析したところ、多数の代謝産物が産生されることが明らかになった。その抽出物を各種クロマトグラフィーに供し、得られた代謝産物を単離し構造解析に供した結果、AOHの配糖体であることが判明した。他の代謝産物についても各種クロマトグラフィーによる精製が進行中である。さらに、ICAの代謝産物の探索を行い、数種の代謝産物を見出した。これらの化合物を単離し、質量分析やNMRを駆使して構造を決定した。 (2)生合成・代謝経路の解明 FCs代謝経路に関わる酵素遺伝子を同定するため、プリン代謝における重要な中間体AICARと培養日数による発現が促進または抑制される遺伝子を探索した。 (3)受容体の同定 AHXにスペーサーを導入し、アフィニティークロマトグラフィー担体に共有結合させ、酵素の精製あるいは受容体の探索を行った。現在、酵素の同定を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)FCs生合成前駆体・代謝産物の探索 前年度までの研究を継続する。研究が当初計画どおりに進まない時は以下の二つのアプローチを試みる。単離した代謝産物の構造活性相関を調べる。さらに、それらの化合物の植物中での内生の有無を確認する。安定同位体を用いて特定の原子を標識し、その変化の過程を追跡するトレーサー実験を行う。すなわち、多重同位体標識化合物を植物に投与し、LC-MS/MSにより取り込まれた同位体を追跡し、それらの代謝産物の構造決定を進める。 (2)生合成・代謝経路の解明 前年度までの研究を継続し、FCsの生合成酵素を同定する。得られた配列及びマイクロアレイ解析からの有望な遺伝子が得られたら、異種発現系によって組換えタンパク質を発現し、機能解析を行う。特にAHX生合成酵素に関して研究が当初計画どおりに進まない時は、AHX(あるいはAHXR)の生成には窒素源として一酸化窒素(NO)が必要であることが示唆されているため、NOとFCs生合成系の相関を調べる。NOが大量生産される条件(ストレスなど)でのFCsの内生量を測定する。NO合成酵素や亜硝酸還元酵素の遺伝子・タンパク質発現解析を試みる。 (3)受容体の同定 プローブ分子を用いて特異的結合量を調べることで、受容体が高発現するイネの培養条件(AHX処理、ストレスなど)を決定する。確立された条件で各FCsと特異的に結合する受容体の同定を行う。膜タンパク質の受容体はタンパク質リン酸化酵素であり、ヒスチジン・アスパラギン酸のリン酸化などに着目し、組換えタンパク質の作成とFCsとの結合実験により受容体であることを立証する。研究が当初計画どおりに進まない時は様々な変異体を用いFCsの作用に対して感受性を示さない植物のスクリーニングを行い、受容体を探索する。
|
Research Products
(14 results)
-
[Journal Article] Bioconversion of AHX to AOH by resting cells of Burkholderia contaminans CH-12016
Author(s)
Choi, J.-H., Kikuchi, A., Pumkaeo, P, Hirai, H., Tokuyama, S., and Kawagishi, H.
-
Journal Title
Biosci. Biotechnol. Biochem.
Volume: 80
Pages: 2045-2050
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] The biosynthetic pathway of 2-azahypoxanthine in fairy-ring forming fungus2016
Author(s)
3.Suzuki, T., Yamamoto, N., Choi, J.-H., Takano, T., Sasaki, Y., Terashima, Y., Ito, A., Dohra, H., Hirai, H., Nakamura, Y., Yano, K., and Kawagishi, H.
-
Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 6
Pages: 39087
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] コムラサキシメジ (Lepista sordida) 菌糸体におけるフェアリー化合物の生合成経路に関する研究2016
Author(s)
伊藤 彰将, 寺島 百合香, 崔 宰熏, 鈴木 智大, 笹浪 知宏, 道羅 英夫, 平井 浩文, 浅川 倫宏, 稲井 誠, 菅 敏幸, 河岸 洋和
Organizer
第58回天然有機化合物討論会
Place of Presentation
東北大学 川内萩ホール(宮城県仙台市)
Year and Date
2016-09-15
-
-
-