2018 Fiscal Year Annual Research Report
化学プローブを活用した木質形成の動的イメージング解析法の開発と応用
Project/Area Number |
16H06198
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飛松 裕基 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (20734221)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | リグニン / バイオマス / 細胞壁 / 蛍光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、木質バイオマスの資源利用拡大に向けた基盤研究として、木質生産の根幹である細胞壁形成の分子機構解明を目指し、細胞壁構成成分特にリグニンの生合成過程や生体内動態を時間的・空間的に解析するイメージング手法の開発を行う。具体的には、独自に開発した化学プローブ群を活用し、植物体内における細胞壁リグニンの形成を直接観察するための新たな蛍光イメージング法の開発を行う。次に、その手法を活用したモデル植物における種々のイメージング解析を実施し、細胞壁リグニン形成のダイナミクスに関わる分子機構の解明を目指す。
平成30年度は、前年度に引き続き、シロイヌナズナやイネをモデルとして用いたケミカルレポータータグ付きリグニン前駆体プローブならびに蛍光色素タグ付きリグニン前駆体プローブを利用したリグニン形成のイメージング解析を進めた。野生型シロイヌナズナに加えて、蛍光タンパク質を連結した細胞壁形成に関わる転写因子を発現する形質転換体を用いて、細胞壁関連遺伝子の発現とリグニン形成の多重蛍光標識による同時観察を試みている。また、シロイヌナズナ、イネ、ポプラなどリグニン形成に関わる種々の遺伝子の発現を制御した形質転換植物について、多次元NMR法などを用いた細胞壁構造の解析も実施した。さらに、本イメージング手法を活用した、針葉樹ヒノキやストライガ属における環境ストレス応答等による組織特異的なリグニン形成機構の解明を目的とした新たな共同研究も幾つか開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、シロイヌナズナやイネをモデルとしてリグニン形成のイメージング解析を実施した。各種形質転換植物の細胞壁構造の解析、蛍光プローブの合成に加え、未だ解析条件のさらなる検討が必要であるものの、蛍光タンパク質の発現による細胞壁関連遺伝子の発現とリグニン形成の多重蛍光標識による同時観察も検討している。また、開発した蛍光プローブを利用したリグニン生合成機構解明に関わる新たな共同研究も複数開始している。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、種々の植物種におけるリグニン形成のイメージング解析を進める。各種リグニン生合成改変組換え植物等を用い、細胞壁構造の解析と合わせて、リグニン形成の時空間制御機構の解明を目指す。
|