2016 Fiscal Year Annual Research Report
農家の取組み促進と政策的支援による総合的な気候変動適応策に向けた計量経済分析
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16H06202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤内 大輔 北海道大学, 農学研究院, 講師 (90550450)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 農業経済学 / 環境 / 地球温暖化 / 政策研究 / 自然災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
農業分野において将来予想される気候変動への対応には、農家による取組みと政策的支援の両面が必要である。この観点から我が国の既存研究では、第一に農業分野での気候変動対策の具体的指針と経済的メリットの解明、および第二に将来における台風や集中豪雨等の増加が農業生産に及ぼす影響の経済評価、という課題が残されている。本研究では、これらの点の解明を通じ、我が国の農業分野における総合的な気候変動対策策定に向けた学術的根拠を提供することを目的としている。 平成28年度は、気候変動適応策の経済的メリットおよび自然災害による農業被害に関する既存研究および統計情報を収集した。気候変動対策の経済的メリットに関する研究については、予備的試算を実施し、成果を取りまとめた。具体的には、農業統計データ、地理情報データ、気象データとを組み合わせた農業生産に関する市町村別パネルデータを作成し、気象データ(気温および降水量)が単位面積当たりの農業所得に及ぼす影響を解析した。さらに、計量経済学的に推計されたパラメータと将来の気候変動シナリオを用いて、将来における気候変動が農業所得に及ぼす影響を推定した。本研究により、農家による適地適作(気象条件にあった品種や栽培技術の選択)の重要性が改めて明らかになったとともに、将来の気候変動に対応した試験研究や技術開発などの政策的支援に関する基礎的知見が得られたと考える。 以上の成果について、次年度(平成29年度)以降に学会報告および論文投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に予定していた文献サーベイ、基礎データの収集を終え、気候変動適応策の経済的メリットに関する研究については、予備的な試算を実施することができた。試算結果を精緻化した上で、論文として取りまとめる等、成果公表に向けた準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、以下3点を実施する予定である。第1に、気候変動適応策の経済的メリットに関する研究の実施および成果の公表である。研究成果を取りまとめ、国際学会にて報告予定である。第2に、自然災害による農業被害に関するデータベース構築である。GIS(Geographic Information System; 地理情報システム)を用い、統計データと空間データとを関連させたデータベースを元に、将来における台風や集中豪雨等の増加が農業生産に及ぼす影響の経済評価を実施する。
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Research Products
(4 results)