2019 Fiscal Year Annual Research Report
結び目構造に着目した生物模倣型バイオマス分離法の開発
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16H06210
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 裕志 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (50553989)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リグニン / バイオマス / ヘミセルロース / NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
植物バイオマスは主にリグニン、ヘミセルロース、セルロースの3大成分によって構成される。リグニンは難分解性の不定形芳香族高分子とされ、リグニンの分離・分解がバイオマス変換反応のボトルネックである。リグニンと多糖間に存在する共有結合の解明は変換反応の設計の点から重要であり、植物細胞壁の形成という植物科学における根源的な学理探究でもある。リグニン-多糖間結合はポリマー主鎖に対してごく僅かであり、変性を防ぎつつ結合点を濃縮することが難しく、150年前に提唱されて以来、直接の証明がされていなかった。本研究は高効率な分離・抽出法を確立し、多次元溶液NMR法を駆使して、世界で初めてリグニン-多糖間結合の直接証明および周辺構造の分子構造解析に成功した (Nishimura et al., Sci Rep 2018, 8:6538)。本論文はWeb of Science 高被引用論文 (分野トップ1%)である。これによって針葉樹におけるグルコマンナンの6位とリグニンのα位間のエーテル結合が解明された。次に、広葉樹における主要なリグニン-多糖間結合の解析を進め、グルクロノキシランとリグニンα位間のエステル結合について、リグニンのγ位における結合(γester型LCC)は少なくともマイナーであり主要な結合はαester型であるという、従来の学説を修正する結果を明らかにした。以上の木質科学における基幹的な学術知見をベースに、バイオマス分離法の開発に着手し、温和な条件下でリグニンおよびリグニン多糖複合体を分離する方法を考案した。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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